2017年度 太陽系科学研究系 STPセミナー

■場所  :研究・管理棟 (A棟) 5F会議室1537 (変更の場合は赤字)
■時刻  :毎週火曜日 15:00-18:00
■連絡先 :齋藤研D1 星 康人 (hoshi [AT] stp.isas.jaxa.jp)
■備考  :発表時間は一人当たり45分程度 * 2人
履歴と予定
開催日時・場所 発表者 (所属・身分)
4/25(火) 14:30- 5F 会議室 自己紹介
石城 (M1),滑川 (M1),長谷川 (M1)
5/1(月) 15:00- 5F 会議室 自己紹介
大早田 (M1),田寺 (M1)
5/9(火) 15:00- 4F 会議室 自己紹介
島 (D3),阿部 (M1)
5/16(火) 15:00- 6F 会議室 塩谷 (准教授),長谷川 (M1)
5/23(火) JpGUの為お休み
5/30(火) 15:00- 6F 会議室 川手 (PD),中村 (教授)
6/6(火) 15:00- 6F 会議室 加藤 (D2)
6/13(火) 15:00- 6F 会議室 大場 (D3)
6/20(火) お休み
6/27(火) 15:00- 6F 会議室 Carlos Quintero Noda (PD),佐藤 (PD)
7/4(火) 15:00- 6F 会議室 Ngan (M2),松岡 (准教授)
7/11(火) AGU Chapman Conferencesの為お休み
7/18(火) 15:00- 4F 会議室 高島 (准教授)
7/25(火) 15:00- 6F 会議室 山崎 (助教)
8/1(火) 15:00- 6F 会議室 Special Lecture
Peter Chi
8/8(火) AOGSの為お休み
8/15(火) お盆休み
8/29(火) 15:00- 6F 会議室 山崎 (助教)
9/5(火) 15:00- 6F 会議室 修論中間発表
韓 (M2),土井 (M2)
9/12(火) 15:00- 6F 会議室 修論中間発表
今井 (M2)
9/19(火) 15:00- 6F 会議室 修論中間発表
長谷川 (M2)
9/26(火) 15:00- 6F 会議室 横田 (助教)
10/3(火) 15:00- 5F 会議室 阿部 (准教授)
10/10(火) 15:00- 5F 会議室 柏M2中間発表@ISAS
北原 (今村研M2)
10/17(火) SGEPSSの為お休み
10/24(火) 15:00- 5F 会議室 Issaad Kacem
10/31(火) 15:00- 5F 会議室 阿部 (准教授)
11/7(火) 15:00- 5F 会議室 早川 (教授)
11/14(火) 15:00- 5F 会議室 本郷M2中間発表@ISAS
戸次 (横山研M2)
11/21(火) 15:00- 5F 会議室 Willi Exner,北村 (PD)
11/28(火) 15:00- 5F 会議室 本郷D3中間発表@ISAS
河野 (横山研D3)
12/5(火) 15:00- 5F 会議室 佐藤毅彦 (教授)
12/12(火) AGUの為お休み
12/19(火) 15:00- 5F 会議室 Anthony Vun,齋藤 (教授)
12/26(火) 年末休み
1/2(火) 正月休み
1/9(火) 15:00- 7F #1733 浅村 (助教)
1/16(火) 15:00- 5F 会議室 長谷川 (助教),坂尾 (准教授)
1/23(火) 15:00- 5F 会議室 篠原 (准教授)
1/25(木) 17:00- 5F 会議室 M2修論発表練習
今井 (M2),土井 (M2),長谷川 (M2),韓 (M2)
1/26(金)
1/30(火) 振替休み
2/6(火) 15:00- 5F 会議室 疋島 (PD)
2/13(火) 15:00- 6F 会議室 石城 (M1),滑川 (M1),長谷川 (M1)
2/20(火) 15:00- 5F 会議室 加藤 (D2)
2/27(火) 休み
3/6(火) 15:00- 5F 会議室 阿部 (M1), 清水 (准教授)
3/13(火) 15:00- 6F 会議室 大早田 (M1), 田寺 (M1)
3/20(火) 15:00- 5F 会議室 村上 (助教)



発表の概要
開催日時・場所 発表者 (所属・身分)
2/20(火) 15:00- 5F会議室 加藤 (D2)
月表面構造と上空での二次イオン観測
概要: 月表面と太陽光/太陽風の相互作用は、いくつかの異なる生成プロセスを経て数eV程度のエネルギーを持つ二次イオンを放出する。放出された二次イオンは、太陽風中の電場によって数100eV程度まで加速されながら上昇し、月上空を周回する探査衛星で観測できる。観測した二次イオンは、生成された月固体表面地点の元素組成や存在量に対応していると考えられており、将来的に二次イオン観測による表面物質の遠隔探査を行うことが期待されている。しかしながら、二次イオンを具体的なイオン種毎に定量的に観測・解析した研究はほとんどなく、月表面での生成場所を特定し、その地点の表面構造と二次イオンの相関については全く調べられていない。
月探査衛星「かぐや」に搭載されたイオン観測装置MAP-PACE-IMAは、月起源の二次イオンの観測・質量分析を行った。本研究では、このIMAによって観測された二次イオンを、約20種のイオンについて解析し太陽風電場のベクトルから月表面の生成場所の特定を行った。そして月表面構造と二次イオンの関係を理解するために、各イオン種毎に月表面の生成場所と観測量を対応させた分布マップを作成した。作成した二次イオン分布マップと月表面の中性原子の存在量分布や磁気異常分布と比較したところ、いくつか顕著な相関があることが分かった。本発表では、判明した月表面構造と二次イオン観測の相関について、異なる生成メカニズムによって作られる二次イオンの生成量の違いや、粒子種毎に異なるイオン生成効率、月岩石試料の分析との違いなどを交えて紹介する。
2/13(火) 15:00- 6F会議室 石城 (M1)
微惑星衝突破壊モデルを用いた惑星形成のN体シミュレーション
概要: 現在の惑星形成論では、原始惑星系円盤においてダストから微惑星、原始惑星を経て惑星が形成されると考えられている。微惑星から原始惑星の集積の過程は、主に微惑星系のN体計算によって議論されてきた。そのようなN体計算では、微惑星の集積を完全集積と仮定することが多いが、最近では、微惑星同士の衝突時に生じる破片の影響も考えられている。本研究では、微惑星同士の衝突破壊をモデル化してN体計算を行い、破片の影響の考察を目指す。また、Particle-Particle Particle-Tree(PPPT)法を用いて、N体計算の高速化を図ることを目指す。
2/13(火) 15:00- 6F会議室 滑川 (M1)
RockSat-XNによる脈動オーロラ現象に伴う高エネルギー降り込み電子の観測
概要: 脈動オーロラ(PsA)は準周期的(数秒から数十秒)に発光強度が変動するオーロラで、その発光には微細な内部変調(数Hz)が存在する。この現象には磁気圏でのコーラス波によるピッチ角散乱が生む電子のマイクロバースト降下が関わっている可能性があるが、内部変調とマイクロバーストの関係は未だ明らかではない。 この関係性を解き明かすために、現在高エネルギー電子検出器(HEP)を開発中である。この機器は数100keV~2MeVの電子を高時間分解能で測定できるよう設計されており、検出部のSSD(Solid State Detector)のエネルギー分解能は4keV程度である。 HEPは脈動オーロラのメカニズム解明を目的としたPARM(Pulsating AuroRa and Microbursts)観測器パッケージの一部として、2019年初頭にノルウェー・アンドーヤから打ち上げられる観測ロケットRockSat-XNに搭載される予定である。 本発表では、HEPの概要と試験結果、現在の進捗状況などについて述べる。
2/13(火) 15:00- 6F会議室 長谷川 (M1)
1年間の研究状況について
概要: カスプ上空電離圏における流出イオンの加速メカニズムの解明を目的として、 SS520-3号機観測ロケットが 2017年12月に打ち上げ予定であったため、このロケット実験を研究テーマとし、搭載される低エネルギープラズマ粒子の観測機器の組み上げや較正試験を行っていたが、輸送前の動作チェックにて問題が発生し、打ち上げが延期になってしまった。そのため現在は研究テーマを変更し、ERG衛星に搭載されている低エネルギーイオン質量分析器(LEPi)の飛行時間計測型質量分析(TOF)のキャリブレーションを行っている。
2/6(火) 15:00- 5F会議室 疋島 (PD)
Data processing in S-WPIA implemented on the Arase satellite
概要: Various plasma waves are excited in the Earth's magnetoshere. The waves can resonate with charged particles. The Software-type Wave-Particle Interaction Analyzer (S-WPIA) is an instrument on board the Arase satellite. The S-WPIA directly observes wave-particle interactions on board a spacecraft in a space plasma environment. The main objective of the S-WPIA is to quantitatively detect the wave-particle interactions that are related to the generation of whistler-mode chorus emissions, as well as electrons over a wide energy range from several keV to several MeV. The S-WPIA requires an accurate measurement of the phase difference between wave and particle gyration. The S-WPIA system allows us to collect information including the detection time, energy, and incoming direction of individual particles and instantaneous wave electric and magnetic fields. In the seminar, I will introduce representative plasma waves resonating with electrons in the magnetosphere and the design of the implemented S-WPIA on the Arase.
1/25(木) 17:00- 5F会議室 今井 (M2)
将来の惑星探査に向けたリフレクトロン型質量分析器の開発Development of a reflectron time-of-flight mass spectrometer for future planetary exploration
概要: 月・惑星探査におけるその場の質量分析は、月・惑星の進化を理解する上で非常に重要であると考えられる。近年の太陽系探査において、NASAの火星探査機「Curiosity」やESAの彗星探査機「Rosetta」にはその場での元素分析を行うための質量分析器が搭載されている。しかし、日本では着陸機用質量分析器が探査機等に搭載されたことはない。 そこで本研究では、将来の月・惑星の探査を想定したTOF-MS(Time-Of-Flight Mass Spectrometer:飛行時間型質量分析器)の開発を行った。また、本TOF-MSはその場K-Ar年代測定への応用も想定している。その場K-Ar年代測定により、クレータ年代学で生じる不確定性を減らし、火星の気候変動や月の進化の過程に制限を設けることができる可能性がある。 TOF-MSの応用例として検討したその場K-Ar年代測定は、K濃度測定を行うLIBS(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:レーザ誘起絶縁破壊分光装置)とAr同位体測定行うTOF-MSから構成されている。着陸機搭載を想定すると、重量、サイズ(直径100 [mm]、全長200 [mm]程度)、電圧(数 [kV])等に制約があり、その条件下でAr同位体測定が可能な質量分解能のTOF-MSを設計する必要がある。TOF-MSにおいて、イオンの初期位置や初期エネルギーのばらつきを抑え、高い質量分解能を得るために、イオンを反射させるリフレクタ型のTOF-MSを採用し、先行研究[大石, 2016]で試作した試験モデルの改良を行った。先行研究で試作した試験モデルでは、イオン源で生成したイオンの加速を行うイオン加速部は1段、リフレクトロンのイオン反射部は2段の構成であったが、最適な設計を目指した性能比較試験を行うため、加速部を2段、反射部を1段の構成に変更した。イオンの初期位置や初期エネルギーのばらつきに依らず飛行時間が収束することを条件にして求めた解析解から、装置の寸法や印加電圧等のパラメータを設定した。これらのパラメータを基に粒子シミュレーションソフトSIMION7.0を用いてArイオンの飛行時間と検出器への到達率を求め、前述のサイズ、印加電圧の条件において、Ar同位体計測に必要な質量分解能が達成可能である事を確認した。 最適化により得られたパラメータや粒子シミュレーション結果を踏まえ、小型リフレクトロン型質量分析器の性能評価を行った。リフレクトロン型質量分析器の試験モデルの加速領域の電場の漏れを防ぎ、試験モデルにイオンを導入するビーム径を制限するために加速領域にカバー及びビーム径を制限するための直径1 mmの筒を装着し、先行研究[大石, 2016]からの課題点の解決を目指した。また、1段加速2段リフレクタ型及び2段加速1段リフレクタ型の質量分析器試験モデルの質量分解能を実測して比較し、リフレクトロンの反射部でイオンが反射される際、イオンの速度が低下している時に通過する電極メッシュの影響が、質量分解能に大きく影響することが判明した。 限られた容積で質量分解能を向上させることを目指して、反射を複数回行うマルチリフレクタ型のTOF-MSの設計も並行して行った。一回反射のTOF-MSと比べ、3回反射のマルチリフレクタ型のTOF-MSはイオンの飛行時間が約2倍となり、分解能が向上する。しかし、飛行時間が増加するとイオンの飛行経路のばらつきが増え、検出率が低下する。一回反射のTOF-MSと同様にSIMIONを用いてArイオンの飛行時間と検出器への到達率を求め、前述のサイズ、印加電圧の条件において、一回反射のTOF-MSと比べ約2倍、質量分解能が向上することを確認した。
1/25(木) 17:00- 5F会議室 土井 (M2)
Observational studies of the formation of coronal sigmoid in solar active regions
概要: Free magnetic energy stored in the solar atmosphere has been considered as the energy source of solar flares. Sigmoid, which is forward or inverse S-shaped bright feature appearing in soft X-ray, indicates sheared and twisted coronal magnetic structure (i.e. sheared arcade or magnetic flux rope) and likely to carry current and thus free magnetic energy. The formation processes of the magnetic structure have been proposed theoretically as multiple occurrences of magnetic reconnection in the atmosphere (van Ballegooijen & Martens 1989) as well as flux emergence from the convective zone (Fan 2001). The former process produces a longer helical field line and a shorter submerging one. When the submerging loop passes the photospheric surface, magnetic cancellation on the polarity inversion line (PIL) is observed (e.g. Martin 1985). The amount of the cancelled flux should be related to the internal flux of the sigmoidal magnetic structure.
In this thesis, I investigate the relation between the formation of sigmoidal magnetic structure and the flux cancellation at the photosphere associated with magnetic reconnection in NOAA active region (AR) 11692, which is a bipolar active region and has only a PIL with little emerging flux. In two days prior to the formation of sigmoid in the corona, the coronal structure gradually evolves from a weakly sheared arcade to a J-shaped loop bundle, which is the southern part of the sigmoid. I extracted the cancelled flux coupled with each of the magnetic reconnection events related to the J-shaped bundle and its total cancelled flux was derived to be the total flux ~ 7.69 × 10^18 Mx.
I also estimated the accumulated flux in the J-bundle loop after its formation. The position of one footpoint of the J-shaped bundle is identified with the estimation of twist and dip shear angles, which represent the signatures of non-potentiality at the photospheric level. I estimated the total amount of flux in the regions near the footpoint as ~ 7.4 × 10^19 Mx.
There is a discrepancy in the estimate magnetic flux between the canceled flux and the J-bundle loop. The estimated flux of the cancelled flux observed at the photosphere is only 10 % of that involved in the J-bundle loop. The spatial distribution and sign of dip and twist shear angles at the photospheric level were interpreted with a cartoon model of magnetic configuration based on the observed features and physical parameters. Based on the results presented in this thesis, dip and twist shear angles can be observational parameters to extrapolate the magnetic configuration of flux rope after its formation.
1/25(木) 17:00- 5F会議室 長谷川 (M2)
Observational Studies on Magnetic Helicity Associated with Solar Flares/太陽フレアに関する磁気ヘリシティの観測的研究
概要: 太陽フレアは磁気リコネクションによっておこる爆発現象である。フレアによって、 磁場に蓄えられた余剰なエネルギー (自由エネルギーと呼ばれる) が解放される。し かし、自由エネルギーがいつ、どこで、どのように蓄積されるのかということにつ いては、フレア研究における長年の問題である。また、フレアのトリガー機構の解 明も未だなされていない。これらの問題に対して、磁場の複雑さの定量化である磁 気ヘリシティが重要な意味を持っていることが、近年の研究から示唆されている。 そこで本論文では、フレアが頻発した活動領域である NOAA 12297 における磁場と 磁気ヘリシティの発展について研究した。本領域は 2015 年 3 月 10 日 12 時 UT から 13日12時UTの間に10回のMクラスフレアと1回のXクラスフレアを起こした。 また、特に活動的な東側領域 (Region 1) と西側領域 (Region 2) におけるフレア発生 の傾向は、前者では 2 回の M クラスフレアと 1 回の X クラスフレア、後者では 7 回 の M クラスフレアというように異なる振る舞いを見せた。
本研究では、太陽観測衛星「Solar Dynamics Observatory」に搭載された磁場測定 装置「Helioseismic Magnetic Imager」で得られた磁場データを用いて、コロナへの 磁気ヘリシティ入射量と空間分布を計算した。さらに、Region 1 と 2 において、黒点 自身の回転あるいは黒点-浮上磁場間の相互の回転の寄与を Spinning helicity injection と Braiding helicity injection を用いて評価した。加えて、太陽観測衛星「ひので」に 搭載されている「Solar Optical Telescope/Srectro-Plarimeter」によって得られた磁場 データを用いた NLFFF 外挿計算によって3次元コロナ磁場を再現し、そのトポロ ジーについて議論した。
両領域における磁場発展の様子は類似しており、ともに黒点に対して磁場が反時計回りに浮上していた。活動領域全体では、基本的には正の磁気ヘリシティが単調 増加的に蓄積していたが、X クラスフレア発生前に増加が止まった。これは Region 1 の黒点における負のヘリシティ入射と対応しており、この時 Region 1 では Braiding helicity injection よりも負の Spinning helicity injection の寄与が支配的であった。一 方で、Region 2 においては、基本的に正のヘリシティが入射しており、変動的な正 の Braiding helicity injection が支配的であった。
Region 1 における負のヘリシティ入射は、磁場浮上によって起こされた黒点の逆 回転によるものと考えられる。X クラスフレア発生前の逆極性のヘリシティ入射は、 正負のヘリシティの対消滅によりフレアが駆動されるというモデルと整合的である。 一方、Region 2 における変動的な Braiding helicity injection は、回帰的なエネルギー・ インプットを示唆しており、M クラスフレアの連続的な発生と合致している。
1/25(木) 17:00- 5F会議室 韓 (M2)
A simulation study on long-time variability of Jupiter’s synchrotron radiation associated with solar-wind-driven electric field太陽風起因の電場が木星からのシンクロトロン放射の長時間変動に及ぼす影響に関するシミュレーション研究
概要: Jovian Radiation Belt is a layer of energetic electrons (up to 50 MeV) held by Jupiter’s magnetic field. Combined with in-situ measurement, Jupiter’s synchrotron radiation (JSR) observations (a few hundred MHz~10GHz) provide us with a great deal of information on the inner Jovian magnetosphere environment, e. g. non-dipole magnetic field components and residing electron population. Assuming particle transport is driven by radial diffusion, where the third adiabatic invariant is violated while the first and second are conserved, one can construct a radial diffusion model from a generalized Fokker-Planck equation [Schulz and Lanzerotti, 1974] where electrons are energized during the diffusion process. A number of models in the past, which is built on the assumption that fluctuating dynamo electric field inside the ionosphere is the source for radial diffusion [Brice et al., 1973], could successfully explain the steady profile of electron distribution and resulted JSR therefrom. Also, the models could explain short-term variability of JSR (where total JSR flux varies by a few % over a few weeks). Yet, not a single model in the previous studies could predict long-term variability (20~30% fluctuation over a few years) and the reason behind the strong correlation (~0.8) between dynamic pressure shifted forward by 2 years and JSR [Bolton et al., 1989] during the period of 1971 and 1985. Amid the situation, Japanese Extreme ultraviolet spectroscope HISAKI found correlation between solar wind ram pressureand convection electric field resulted from magnetosphere-ionosphere coupling, from the long-time monitoring of Io Plasma Torus [Murakami et al., 2016], from which one can hope for the missed link between ram pressure and JSR. In the thesis, taking the HISAKI’s result into account, I formulated a new diffusion coefficient in terms of ram pressure, and revised a simulation code developed by Miyoshi et al., 1999 to include the new term into the diffusion model. With the ram pressure data between 1971 and 2006, observed at the Earth’s orbit and extrapolated to Jupiter’s orbit with MHD model [Tao et al., 2005], JSR is calculated and compared with the past observations at 2.3GHz. When a diffusion coefficient based on the argument of Brice et al., 1973!"" #$ = 6×10-+,-.[0-+] is assumed, simulation result shows the highest correlation with the observation data, 0.659. However, with the coefficient, short-term variability cannot be reproduced in the manner as in Miyoshi et al., 1999, and to have full account of the both variabilities leaves itself for future study.
1/23(火) 15:00- 5F会議室 篠原 (准教授)
Energetic electrons observed in higher latitude regions ofthe plasma sheet near the outer radiation belt
概要: The Arase satellite was successfully launched on Dec. 20, 2016, and it has started the regular mission observation since the end of March, 2017. The orbital inclination of Arase is about 31 degree, so that Arase is possible to observe higher L-value plasma sheet close to the plasma sheet boundary. During this summer, the local time of the apogee is located at near the midnight, and Arase observed the plasma sheet just outside of the outer radiation belt as expected. In these observations, we found that energetic electron bursts up to 500 keV frequently appear in the plasma sheet. Possible sources of these energetic electron bursts of a few hundreds keV near thein higher L-value region are (1) directly accelerated from magnetotail reconnection sites and (2) dispersion-less injections. It is interesting to distinguish the acceleration source of them and address each contribution of the energy input to the outer radiation belt for understanding the relation between magnetotail reconnection and the acceleration of MeV electrons in the radiation belts. We will present the initial results on the characteristics of the observed energetic electron bursts by using the wide-range electron distribution measurements from 10 eV to 20 MeV.
1/16(火) 15:00- 5F会議室 長谷川 (助教)
地球磁気圏わき腹で観測されるプラズマ乱流の生成機構
On the generation of turbulence observed in the flank of Earth’s magnetosphere
概要: 地球磁気圏のわき腹境界領域では、ケルビン・ヘルムホルツ(KH)不安定に伴う大規模な渦乱流や、陽子の旋回周波数や旋回半径と同程度、もしくはさらに小スケールの電磁場乱流が観測される。これらの乱流は太陽風磁場が北向きの条件下における太陽風プラズマの磁気圏内への輸送に寄与していると考えられているが、特に小スケールの乱流がどのように発生しているのか、またこの乱流がプラズマ輸送の原因なのか、あるいはプラズマ輸送を引き起こしている別の物理機構の結果なのかは、よくわかっていない。2015年3月に打上げられた4機のMagnetospheric Multiscale(MMS)衛星は、乱流を駆動しうるKH不安定や磁気リコネクションが発生している磁気圏境界領域を昼側から夜側にかけて、高時間分解能で編隊観測をしている。本発表では、磁気圏わき腹でKH不安定渦が観測された2015年9月8日の事例と、KH不安定が観測されなかった昼側の事例を比較し、KH不安定が電磁場乱流の生成に果たす役割や、KH不安定に伴う乱流の性質について解析・考察した結果を報告する。
1/16(火) 15:00- 5F会議室 坂尾 (准教授)
Development of Precision X-ray Mirrors for Future Solar Observations
概要: We present overview and status of our development effort on precision Wolter mirrors for future X-ray observations of the Sun. Soft X-ray imaging observations of the solar corona with Yohkoh/SXT and Hinode/XRT have provided us with rich discoveries on a wide range of coronal activities, including flares and their relationship with magnetic reconnection.
Despite these discoveries, however, it has so far remained totally unanswered where and how in the flaring magnetic structure particle (electron) acceleration proceeds, even though it is known that acceleration of particles is a ubiquitous nature of flares that are driven by magnetic reconnection.
One of the key observations to address this issue would be to image the soft X-ray corona in an energy range covering up to ~10 keV. Such imagery is expected to fully trace the evolution/energization of coronal plasmas (electrons) during the course of particle acceleration in flares. For this purpose, we have been developing precision Wolter (grazing-incidence) mirrors to perform the aforementioned imagery, with angular resolution and scattering performance better than any other previous X-ray telescopes for solar observations.
Brief science background followed by overview and the present status of our mirror development will be presented and some future prospects discussed.
1/9(火) 15:00- 7F #1733 浅村 (助教)
ERG/LEPi による低エネルギーイオン観測
概要: ERG 衛星には広いエネルギー範囲をカバーするために 2台のイオン観測器、4台の電子観測器が搭載されている。このうち、0.01 - 25keV/q の範囲をカバーする低エネルギーイオンエネルギー質量分析器 (LEPi) について、その性能と初期観測結果について述べる。
12/19(火) 15:00- 5F会議室 Anthony Vun
Search for Exocomets in Na I Absorption - Exploring Venus at near-dusk and near-dawn views
概要: As this is my first STP talk, I would like to briefly introduce my research background (Master Thesis) in the search of Exocomets using Na I absorption regime. Na I is found in the ice of comet’s nucleus and Ca II origins from the dust particle of the comet tail. In past research, exocomet search often relies on strong Ca II K absorption due to its distinct features. On top of the weak absorption of Na I (Ratio of Na I / Ca II ~1/50), Na I lines are within the telluric absorption regime. Thus, the main part of my previous project is to remove the telluric lines and extract such information. This method allows search of exocomets not only constrain to exposure of hot environment (OBA stars or at perihelion), but to extend the search to much cooler environment (FG stars or at aphelion).
Then, I will talk about my current progress study of Venus images mainly investigating on near-dusk and near-dawn views of Akatsuki’s IR2 data. Near-dusk and Near-dawn views of Venus are often contaminated by intense sunlight contrast. Valuable information from the night-side can still be restored by applying appropriate method i.e. Restoration by Deconvolution. Assuming correct Lambert’s law dayside and Moffat point spread function used, I suggest a method to physically interpret appropriate value of brightness coefficient F by monitoring the ‘contrast dip’ exist between the day and night sides. For further analysis (Not on slides) , I am investigating appropriate application of the dayside crescent and apply mathematically approximated point spread function to enhance the ‘restoration by deconvolution’ method. Finally, mathematical interpretation of F should also be determined considering factors like the solar phase angles and wavelength.
12/19(火) 15:00- 5F会議室 齋藤 (教授)
プラズマシート・ローブ境界の高時間分解能観測
High Time Resolution Plasma Sheet - Lobe Boundary Observation
概要: 地球磁気圏尾部のプラズマシート・ローブ境界は、ローブの冷たいプラズマと、プラズマシートの暖かいプラズマの間に挟まれた領域であり、速度分散を持ったイオンや電子のビームが存在するなど、特徴的な領域である。Geotail衛星の観測によって、磁気圏近尾部の領域から遠尾部の領域にかけてのプラズマシート・ローブ境界は、ある割合で、スローショックとなっていることが明らかとなり、磁気圏尾部の磁気リコネクション領域の近傍に加えて、プラズマシート・ローブ境界もローブの冷たいプラズマを加熱する役割を担っていることがわかっている。しかしながら、スローショック境界におけるイオンの加熱は磁気圏尾部の衛星に対する速度にも依るが、Geotail衛星に搭載された低エネルギーイオンの観測装置の時間分解能である12秒では殆ど1サンプルの間にイオンは加熱されてしまうため、その構造については未解決のままであった。
 MMS衛星は、4機の衛星で構成される編隊飛行衛星で、2015年3月12日に打ち上げられ、打ち上げ後2年の間地球磁気圏の昼間側の磁気リコネクション領域の観測を重点的に行った後、2017年5月以降は、磁気圏尾部の磁気リコネクション領域の観測を進めている。本MMS衛星には低エネルギーイオンのエネルギースペクトルを測定するDIS(Dual Ion Sensor)が、1機の衛星当たり4台搭載されており、計16台のDISが観測を行っている。DISの時間分解能はモードによっても異なるが、FASTサーベイと呼ばれるモードで、4.5秒、バーストモードと呼ばれるモードでは150ミリ秒で低エネルギーイオンの3次元分布関数を取得することができる。DISと同時に電子の計測を行っているDES(Dual Electron Sensor)はDISより更に高い時間分解能である30ミリ秒で電子の3次元分布関数を取得することができる。本セミナーでは、DISとDESのデータと磁力計によって得られた磁場のデータを用いて、スローショックとなっているプラズマシート・ローブ境界を探し、その境界におけるイオンの加熱に伴う分布関数の変化について述べる。
12/5(火) 15:00- 5F会議室 佐藤毅彦 (教授)
Cleaning up the Akatsuki/IR2 Venus night-side images
概要: IR2 onboard Akatsuki acquired Venus night-side images at 3 wavelengths, 1.735, 2.26, and 2.32 um (so-called near-IR atmospheric windows). It is now known that multiple reflections of infrared light within the Si substrate of IR2 detector (PtSi) produces a point-spread function (PSF) with extremely elongated tail. Being blurred by such a PSF, the light from the bright dayside crescent significantly contaminates the night-side pixels in IR2 images. For photometric studies, this contamination needs to be reduced and two methods have been developed and tested. One is "Restoration by Subtraction" (RS) and another is "Restoration by Deconvolution" (RD). In this seminar, characteristics of IR2 PSF is presented. Then, two methods (RS and RD) are introduced and test results will be shown with implication to future studies using IR2 Venus night-side images.
11/21(火) 15:00- 5F会議室 Willi Exner
CME Impacts onto the Hermean Magnetosphere
概要: In-situ data from the MESSENGER spacecraft of the magnetic environment near planet Mercury indicate that two coronal mass ejections (CME) passed the planet on 23 November 2011 and 8 May 2012. We apply the hybrid (kinetic ions, electron fluid) code A.I.K.E.F. to study the interaction of Mercury's magnetosphere with these CMEs.
  From MESSENGER data of the first CME, a complete upstream parameter set can be obtained. However, A.I.K.E.F. results show that this upstream parameter set is only applicable to the dayside magnetosphere.With the SUSANOO-Fluidcode, which simulates the solar wind and CMEs up to 2AU, we can obtain upstream parameters for when MESSENGER was in the nightside magnetosphere. As these upstream parameters show significant reproduction of MESSENGER data, we conclude that the CME has to be highly variable on a time scale of 15 min.
  From MESSENGER data of the second CME, constraints the direction and magnitude of the CME magnetic field but no information on its particle density could be determined.With our simulation results, we constrain the evolution of the particle density inside the CME. We show that within a 24-hour period the particle density within the CME had to vary between 2-100 cm^-3 in order to explain MESSENGER magnetic field observations. Furthermore, 3D analysis show that, invisible to MESSENGER, standing vortices along the flanks of the magnetosphere arise with lower densities for this IMF configuration. These vortices push magnetospheric particles onto the inner boundary of the bow-shock and might be able to expand the size of the magnetosphere.
11/21(火) 15:00- 5F会議室 北村 (PD)
波動粒子相互作用直接計測(WPIA)による電磁イオンサイクロトロン(EMIC)波動励起、ヘリウムイオン加速領域の同定
概要: 宇宙空間の無衝突なプラズマ中でプラズマを加速するためには荷電粒子が背景の場からエネルギーを得る必要がある。その中でも特に荷電粒子が波動と相互作用しエネルギーを得ることが様々な粒子加速の原因となっていると考えられている。一方、その波動自身も何らかの過程でプラズマ粒子からエネルギーを得て励起する必要がある。しかし、波動は伝搬するため、その場で粒子と相互作用して励起しているのか、伝搬してきているものが観測されているだけなのかは簡単には区別できない。また、加速された粒子が観測されたとしても、その場で粒子加速が起きているのか、他の場所で加速された粒子がやってきたのかを区別するのも容易ではない。本発表ではプラズマのエネルギー、ピッチ角分布に加えて、ジャイロ角方向分布と波の電磁場の相対的な位相情報を用いるWPIAと呼ばれる手法をMMS衛星群で磁気圏外周部で観測されたイオンと電磁イオンサイクロトロン(EMIC)波に適用し、波動粒子相互作用が顕著にみられた領域を直接同定し、その広がりについて解析した結果について報告する。温度異方性をもった10-30 keVのH+が共鳴速度付近で非線形のサイクロトロン共鳴によってEMIC波動へエネルギーを供給し、He+と波動のエネルギー交換は共鳴条件を満たさない非共鳴の波動粒子相互作用であったことが直接的に同定できた。更に、波動粒子相互作用が顕著に継続した時間と背景の構造の移動速度から、ホットなH+や加速されたHe+のサイクロトロン運動の直径の2倍程度という極めて狭い領域に極在して波動粒子相互作用が顕著となっていることが明らかになった。WPIAの手法を用いることで、複数のイオン種が波動を介してエネルギー交換している事を初めて観測的に実証し、更にエネルギー交換のイオン分布関数内での分布からイオン加速や波動励起の物理過程を直接同定できただけでなく、波動粒子相互作用の空間領域についての議論をも可能とした。これはWPIAの手法が波動粒子相互作用の理解に極めて有用である事を実証している。
11/14(火) 15:00- 5F会議室 戸次 (横山研M2)
Convective velocity suppression via the enhancement of subadiabatic layer: Role of the effective Prandtl number
概要: It has recently been recognized that the convective velocities achieved in the current solar convection simulations might be over-estimated. The newly-revealed effects of the prevailing small-scale magnetic field within the convection zone may offer possible solutions to this problem. The small-scale magnetic fields can reduce the convective amplitude of small-scale motions through the Lorentz-force feedback, which concurrently inhibits the turbulent mixing of entropy between upflows and downflows. As a result, the effective Prandtl number may exceed unity inside the solar convection zone. In this talk, we propose and numerically confirm a possible suppression mechanism of convective velocity in the effectively high-Prandtl number regime. If the effective horizontal thermal diffusivity decreases (the Prandtl number accordingly increases), the subadiabatic layer which is formed near the base of the convection zone by continuous depositions of low entropy transported by adiabatically downflowing plumes is enhanced and extended. The global convective amplitude in the high-Prandtl thermal convection is thus reduced especially in the lower part of the convection zone via the change in the mean entropy profile which becomes more subadiabatic near the base and less superadiabatic in the bulk.
10/31(火) 15:00- 5F会議室 阿部 (准教授)
SS-520-3号機搭載ラングミュアプローブによる電離圏カスプ領域での熱的電子の観測
概要: 電離圏カスプ領域からのイオン上昇流駆動メカニズムを解明するため観測ロケットSS-520-3号機の打ち上げが計画されている。本発表では搭載観測機器のひとつであるラングミュアプローブ(FLP)によって得られるデータ、イオン上昇流の解明に果たす役割、その他期待すること、について述べる。 SS-520-3号機に搭載するFLPでは、三角波電圧の掃引を10Hzとし、1秒間に20セットの電圧?電流特性を得て、従来よりも高速のデータ取得を可能にしている。これまでの観測ロケットと同様にプローブは直径3mm長さ20cmのステンレス円筒で、ガラス封じした状態でロケットに搭載、飛翔中にガラス管を破壊し、クリーンな表面で観測を開始する予定である。サンプリング周波数は6400Hzであり、電子温度・密度推定のための電流電圧特性のほか、電子電流からは1m以下の空間スケールの電子密度擾乱に関する情報を取得することが可能である。 FLPによる観測データへの期待としてはまず電離圏プラズマの基礎情報の提供があげられる。カスプ域の降下電子は電離圏電子を加熱するため、フライト時に得られる電子温度分布からロケット軌道とカスプの位置関係が推定できる。但し、観測高度によってはローカルな加熱の影響が観測値には現れない可能性がある。本実験の目的のひとつとして波動?粒子相互作用によるイオン加熱・加速があげられているが、そのような過程が効率的に作用する高度にどの程度の粒子が供給されるかを決める重要なパラメータで電子温度の決定もFLPに期待される。その他、上部電離圏では分極電場によるイオン加速も無視できない過程であり、FLPは本質的なデータを提供する。 発表においては、あけぼの衛星に搭載された熱的電子エネルギー分布測定器(TED)と超熱的イオン質量分析器(SMS)が電離圏カスプ領域で取得したデータを紹介し、イオン上昇流と電子温度の関係についても触れる。
10/24(火) 15:00- 5F会議室 Issaad Kacem
Observation of a Flux Transfer Event type signature resulting from a complex three-dimensional interaction of distinct reconnected flux tubes
概要: The occurrence of spatially and temporally variable reconnection at the Earth’s magnetopause has long been shown to lead to the formation of Flux Transfer Events (FTEs). Two main FTE characteristics are an enhanced core magnetic field magnitude and a bipolar magnetic field signature in one of the components, reminiscent of a large-scale helicoidal flux tube magnetic configuration. Using high-resolution measurements from the Magnetospheric Multiscale mission (MMS), we investigate an FTE-type feature at the Earth’s magnetopause on November 7, 2015. Despite signatures that at first glance appear consistent with a classic FTE, based on detailed geometrical and dynamical analyses, as well as on topological signatures revealed by suprathermal electron properties, we demonstrate that this event is not consistent with a single, homogenous helicoidal structure. Our analysis rather suggests that it consists of the interaction of two separate sets of open magnetic field lines, with different connectivities produced by distinct reconnection sites. This complex three-dimensional interaction constructively conspires to produce signatures consistent with that of an FTE. We also show that, at the interface between the two sets of open field lines, where the observed magnetic pile up occurs, a thin and strong current sheet forms with a large ion jet, which may be consistent with magnetic flux removal through magnetic reconnection in the interaction region.
10/10(火) 15:00- 5F会議室 北原 (今村研M2)
あかつき金星紫外画像に見られる地形固定構造
概要: 金星探査機あかつき搭載の紫外カメラ(UVI)で取得された雲画像を用いて、金星地表に対してほぼ固定した微細な模様を検出し、その起源について考察する。同じくあかつきに搭載されている赤外カメラ(LIR)により、南北にまたがる巨大な弓状構造が発見され、これまでに複数回出現していることが確認されている。これらは特定の高地上に出現し、背景風に流されることなくその場にあり続けることから、その成因は地形性の重力波によるものと考えられている。本研究は異なる波長でも似た特徴を持つ構造があることを示すものである。また、地形固定構造が重力波によるものであると仮定して波パラメータの推定を進めている。紫外吸収物質と雲のスケールハイトを仮定したうえで重力波の平面波解による移流を Chiu and Ching (1978) のモデルに基づいて計算し、雲頂より上の二酸化硫黄コラム量の変動を推定する。これを観測された地形固定構造と比較することで背景大気の密度振幅が求まる。また、あかつきの複数のカメラにより複数の波長で捉えられた地形固定構造から雲頂高度の変動と紫外吸収物質の変動の位相関係を求め、ここから吸収物質と雲のスケールハイトに制約を与えることができる。
9/19(火) 15:00- 6F会議室 長谷川 (M2)
活動領域NOAA12297における大規模フレアの発生と黒点の逆回転
概要: 太陽フレアは、コロナに蓄えられたエネルギーが、磁気リコネクションによって急速に解放される現象である。しかし、観測からは光球面の磁場しかわからず、エネルギーはコロナ中で散逸してしまうため、コロナのエネルギー状態を観測から直接評価することはできない。この評価のためには、磁気ヘリシティ(Berger & Field 1984)をエネルギー状態の代替として用いるのが最適である。コロナ磁場のヘリシティも直接求めることはできないが、光球磁場からコロナへのヘリシティ入射量の測定から、磁場の活動性を探ることができる(Kusano et al. 2002)。 この測定によって、フレアが[A]「ヘリシティが閾値を超えて発生」するものと、[B]「ヘリシティが飽和あるいは減少する過程で発生」するものがあることが分かった(Park et al. 2012)。これは、フレアにはエネルギー蓄積だけでなく、トリガーとなる機構が必要であることを示しているが、この機構は現在でも解明されていない。 [B]に関しては、フレア前に逆極のヘリシティをもった構造が現れる場合がある(Park et al. 2010)。しかし、[課題]この逆極のヘリシティ入射の正体やフレアへの寄与を突き止めた例はほとんどない。 我々は、[課題]について探るため、 [B]のフレアを起こした活動領域を解析した。結果、フレア前に黒点が逆回転を始め、逆極のヘリシティを入射していた。そこでさらに、逆回転の原因と、フレアへの影響を解析した。 結果、黒点のすぐ北で発生した磁気浮上に伴う磁場の結びつきの変化と浮上磁場の運動によって、黒点磁場が強くねじり直され、黒点の逆回転として現れたことがわかった。このねじれ構造では大きな電流が流れ、フレアの発生につながったと考えられる。 黒点の回転とフレアとの関係を調べた例はあるが、本研究は、黒点の逆回転に伴う磁場のねじり直しがフレアに寄与していることを初めて解明した。
9/12(火) 15:00- 6F会議室 今井 (M2)
月・惑星探査用飛行時間型質量分析装置の開発
概要: 月・惑星探査におけるその場の質量分析は、月・惑星の進化を理解する上で非常に重要であると考えられる。近年の太陽系探査において、NASAの火星探査機「Curiosity」やESAの彗星探査機「Rosetta」にはその場での元素分析を行うための質量分析器が搭載されている。しかし、ISASでは月・惑星の岩石試料の計測を目的とした質量分析器は未開発である。そこで我々は月・惑星の探査を想定したTOF-MS(Time-Of-Flight Mass Spectrometer:飛行時間型質量分析器)の開発を進めている。また、本TOF-MSはその場K-Ar年代測定への応用も想定している。その場K-Ar年代測定により、クレーター年代学で生じる不確定性を減らし、火星の気候変動や月の進化の過程に制限を設けることができる可能性がある。
我々がTOF-MSの使用を検討しているその場K-Ar年代測定は、K濃度測定を行うLIBS(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:レーザ誘起絶縁破壊分光装置)とAr同位体測定行うTOF-MSから構成されている。着陸機搭載を想定すると、重量、サイズ(直径10[cm]、全長20[cm]程度)、電圧(数[kV])などに制約があり、その条件下でAr同位体測定が可能な質量分解能のTOF-MSを設計する必要がある。TOF-MSにおいて、イオンの初期位置や初期エネルギーのばらつきを抑え、高い質量分解能を得るために、我々はイオンを反射させるリフレクター方式のTOF-MSを採用し、先行研究で試作した試験モデルの改良を進めている。先行研究で試作した試験モデルでは、イオン源で生成したイオンの加速を行うイオン加速部は1段、リフレクトロンのイオン反射部は2段の構成であったが、最適な設計を目指した性能比較試験を行うため、本研究のモデルでは、加速部を2段、反射部を1段の構成に変更した。イオンの初期位置や初期エネルギーのばらつきに依らず飛行時間が収束することを条件にして求めた解析解から、装置の寸法や印加電圧等のパラメータを設定した。これらのパラメータを基に粒子シミュレーションソフトSIMIONを用いてArイオンの飛行時間と検出器への到達率を求め、前述のサイズ、印加電圧の条件において、Ar同位体計測に必要な質量分解能が達成可能である事を確認した。その上で、限られた容積で質量分解能を向上させることを目指して、反射を複数回行うマルチリフレクター型のTOF-MSの開発を目指している。それまでの一回反射のTOF-MSと比べ、3回反射のマルチリフレクター型のTOF-MSはイオンの飛行時間が約3倍となり、分解能が向上する。しかし、飛行時間が増加するとイオンの飛行経路のばらつきが増え、検出率が低下する。そのため、レンズを用いてイオンの飛行経路のばらつきを抑える設計とした。一回反射のTOF-MSと同様にSIMIONを用いてArイオンの飛行時間と検出器への到達率を求め、前述のサイズ、印加電圧の条件において、一回反射のTOF-MSと比べ約三倍の質量分解能の向上を確認した。
本発表では、主にマルチリフレクター型のTOF-MSの設計について報告する他、Ar同位体計測用の1回反射型TOF-MSの開発状況を報告する。
9/5(火) 15:00- 6F会議室 韓 (M2)
A simulation study on long-term synchrotron variation in Jovian radiation belt
概要: Radiation belt is a layer of energetic particles (~few tens MeV) held by geomagnetic fields, ranging up to several planetary Radii in distance. Jovian Radiation Belt, where in-situ measurement is limited, Jupiter's synchrotron radiation (JSR) observation is a key tool for determining physical process therein, and various diffusion models have been proposed to account for observed JSR's short-term and long-term variations, albeit their reasons largely unknown. In my study, I contemplate on how solar wind can make itself effective on radial diffusion in Magnetosphere and discuss the possibility that it might be a clue for solving long-term synchrotron variation problem.
9/5(火) 15:00- 6F会議室 土井 (M2)
コロナ温度構造診断で見るシグモイド構造の発現
概要:  大規模フレア或いはコロナ質量放出の発生前に、軟X線でS字型または逆S字型の明るい構造(シグモイド)が観測されることがある。これはコロナにおけるねじれた磁束ロープの存在を示唆し、フレア発生時に解放できる磁場の自由エネルギーが高いことが推察され、フレア発現予測においてプリフレア現象として重要と考えられている。光球でのシア運動と磁気中性線への流れに伴う磁場のつなぎ替えにより、全体としてヘリカル構造を持つ磁束ロープが形成されることが理論的に示されており(van Ballegooijen & Martens 1989)、形成前にこのような光球運動が観測されたものがシグモイド構造の約6割であり、ほとんどのシグモイド構造がフレア発生の約2-3日前から観測されることが過去の統計的研究にて分かっている(Savcheva et al 2014)。一方で、2013年3月中旬にM1.1クラスのフレアが発生した活動領域NOAA11692にてフレア発生前に観測されたシグモイドは、フレア発生9時間前にてJ型コロナループの急速な増光が起こった後に形成されており、上述のシグモイド存続時間の統計的傾向と比較して短い時間スケールでの発現であることが、ひので衛星/X線撮像望遠鏡(XRT)により確認された。
 本研究では、NOAA11692における短時間スケールでのヘリカル構造の形成で必要となるコロナ中での細かな磁気リコネクション(MRX)がどこでどのように起きるかを、加熱や軟X線増光という振る舞いで把握することを検討する。MRXによる熱エネルギーの解放を見出すため、XRTのデータを用いたフィルター比法により、活動領域における温度の空間分布を算出した。その結果、急速なJ型の増光が見られた時刻にてJ型のシース領域での温度(logT[K]~7)が周囲(logT~6.5)より高くなっている。また、フレア発生後には4本のフレアリボンが確認できる。これらの結果は、シグモイド構造形成初期からフレア発生に至るまでの、磁束ロープの形状および周囲の磁場との間での相互作用についての推定を可能にし、本発表にて議論する。
8/29(火) 15:00- 6F会議室 山崎 (助教)
ひさき衛星による惑星間空間ヘリウムの観測
概要: 太陽圏の外側の星間ガスの状態が、星間風に乗り太陽系中心までやってくる惑星間空間の水素・ヘリウム原子分布の観測により推測できることが知られている。観測自体は1970年代から行われている古式ゆかしい方法であるが、近年の IBEX 衛星観測や Voyger 探査機の太陽圏脱出の是非をはじめ、太陽圏を取り囲む研究活動が活発になっている。特に IBEX 衛星観測結果から星間風の方向に変化があり太陽圏と周辺の星間ガスの位置関係の変化と捉えるという報告 (Frisch+13) はセンセーショナルであったが、その変化は誤差の範囲内で星間風の方向は変化しているとは言えない という報告もある(Mebius+15, Koutroumpa+17)。 惑星分光観測衛星「ひさき」も主対象ではないが、最近の星間風状態を確認するため、その視野を惑星間空間に向け、ヘリウム原子分布を観測した。この結果は、星間風方向の変化は誤差の範囲内ではあるが、変化がないと言い切れるものでもなかった。観測データや解析結果について報告し、議論を深めたい。
8/1(火) 15:00- 6F会議室 Peter Chi
Magnetospheric Seismology and Lunar Surface Magnetic Field Measurements
概要: This is a two-part presentation on investigating the space environment through the observations of magnetic field variations. The first part is focused on magnetospheric seismology, or “magnetoseismology” for short. Like in terrestrial seismology and helioseismology, magnetoseismology uses normal-mode oscillations and signal travel time to investigate the interior structure of the Earth’s magnetosphere (e.g., the plasmasphere and its variations) and the sources of impulsive phenomena (e.g., sudden impulses, substorm onsets). We will briefly review how each of the normal-mode and travel-time magnetoseismologies started, and how it can aid future investigations of the solar wind-magnetosphere-ionosphere coupling, in part through the international ISSI magnetoseismology team. The second part is centered around the findings by Apollo Lunar Surface Magnetometers (LSM). After being inaccessible since 1980s, the Apollo magnetometer data are being restored for analysis by modern tools and methods. A revisit to the Apollo Lunar Surface Magnetometer data has led to the discovery of the ion cyclotron waves in the magnetotail not reported during the Apollo era. We will also address how simultaneous satellite-surface magnetic field measurements can help investigate Moon-plasma interactions and the internal structure of the Moon.
7/18(火) 15:00- 4F会議室 高島 (准教授)
身近な高エネルギー現象 Terrestrial Gamma-ray Flashes
概要: TBD
7/4(火) 15:00- 6F会議室 Ngan (M2)
The effect of different galactic environments on star-forming clouds.
概要: The Schmidt ? Kennicutt law indicates empirically the relation between surface star formation rate, gas content and global galactic dynamics while there is a large amount of gas scattering in medium. These correlations suggest that star formation is influenced significantly by the environment of the galaxy, in which one of possible factors could be galactic potential. In this work, we implement a series of high resolution simulations to investigate the star-forming clouds in different galactic backgrounds without considering star formation and stellar feedback. The fiducial runs are set up as an isolated disk galaxy of initially constant gas profile, sitting on various galactic potentials controlled by rise, decrease, and flat rotation curves of about 200 km/s. And then, other factors are introduced in each case of fiducial runs, namely extreme rotation curves of about 500 km/s, gas density distribution proportional to stellar profile, and spiral patterns, to produce diversity of galactic environment and to compare them with the fiducial. Despite the variance of rotation curves, the rate of change of shear plays an important role in the process of gas collapse to form clouds. More massive and larger clouds are found in most cases compared to the fiducial. The biggest differences in comparisons of cloud properties are found in the rise curves of the extreme and stellar profile cases, but in the decrease curve of the spiral run. This implies that the influence of different galactic potentials on molecular clouds varies considerably when extreme circular velocity, variable gas profile, and spirals are presented.
7/4(火) 15:00- 6F会議室 松岡 (准教授)
Initial results of the magnetic field experiment by the magnetometer (MGF) for the ARASE (ERG) mission
概要: The acceleration process of the charged particles in the inner magnetosphere is considered to be closely related to the deformation and perturbation of the magnetic field. Accurate measurement of the magnetic field is required to understand the acceleration mechanism of the charged particles, which is one of the major scientific objectives of the ARASE (ERG) mission. We designed a fluxgate magnetometer which is optimized to investigate following topics; (1) accurate measurement of the background magnetic field - the deformation of the magnetic field and its relationship with the particle acceleration. (2) MHD waves - measurement of the ULF electromagnetic waves of frequencies about 1mHz (Pc4-5), and investigation of the radiation-belt electrons radially diffused by the resonance with the ULF waves. (3) EMIC waves - measurement of the electromagnetic ion-cyclotron waves of frequencies about 1Hz, and investigation of the ring-current ions and radiation-belt electrons dissipated by the interaction with the EMIC waves. A fluxgate magnetometer (MGF) was built for the ARASE satellite to measure DC and low-frequency magnetic field. The design is based on MGF-I, one of the magnetometers for BepiColombo MMO, Mercury orbiter, which would also suffer high radiation on the Mercury orbit. The requirements to the magnetic field measurements by ARASE was defined as (1) accuracy of the absolute field intensity is within 5 nT (2) angular accuracy of the field direction is within 1 degree (3) measurement frequency range is from DC to 60Hz or wider. MGF measures the vector magnetic field with the original sampling frequency of 256 Hz. The dynamic range is switched between ±8000nT and ± 60000nT according to the background field intensity. The MGF initial checkout was carried on January 10th 2017, three weeks after the launch of ARASE. The MGF normal performance and downlinked data were confirmed. The MAST for the sensor was deployed on 17th January. The initial results of the magnetic field observation and data examination will be shown in the presentation.
6/27(火) 15:00- 6F会議室 Carlos Quintero Noda (PD)
A new era of chromospheric polarimetry
概要: The solar chromosphere embodies the transition between the photosphere and the corona, an atmospheric layer with a temperature higher than a million degrees. The energy that is released into the corona is transported through and modulated by the chromosphere. Magnetic fields greatly influence the structuring and energy balance of this layer and, for this reason, future space missions such as the Japanese Solar-C, balloon missions as the German-led Sunrise 3, and ground-based telescopes such as DKIST or EST aim to understand, for the first time, the properties of the chromospheric magnetic field. In this regard, before the launch of any of the mentioned missions, we need to study the different spectral lines that are candidates for this task. To do that, we make use of realistic 3D magnetohydrodynamical simulations and available numerical codes that solve the radiative transfer equation for polarized light to synthesize those spectral lines (as the polarization signals generated by them). We aim to define an optimum selection of lines as the instrumental requirements to observe them. My plan is to introduce this topic and to show the results we have obtained in the last 2 years.

For more information, please check:
1. Quintero Noda et al. 2017b→ http://ads.nao.ac.jp/abs/2017arXiv170510002Q
2. Quintero Noda et al. 2017→ http://ads.nao.ac.jp/abs/2017MNRAS.464.4534Q
3. Quintero Noda et al. 2016→ http://ads.nao.ac.jp/abs/2016MNRAS.459.3363Q
6/27(火) 15:00- 6F会議室 佐藤 (PD)
Stationary features at the Venus cloud top seen in Akatsuki/IR2 2.02-micron dayside images
概要: The first sequential images acquired by Longwave Infrared Camera (LIR) onboard Akatsuki after its insertion into Venus orbit on December 7, 2015 provide a new insight on atmospheric dynamics of Venus. A planetary-scale bow-shaped structure seen in the LIR images has been fixed in a position above Aphrodite Terra against westward super-rotation reaching ~100 m/s at the cloud top level. This structure has been considered to result from an upward-propagating mountain gravity wave generated by the interaction of atmospheric flow with the topography (Fukuhara et al., 2017). In order to obtain a better understanding of the newly discovered stationary structure, we have analyzed 2.02-micron dayside images taken by 2-μm Camera named IR2. Since a wavelength of 2.02 micron locates in a CO2 absorption band, the images enable us to monitor the spatiotemporal variation of cloud top altitude. Up to the present, we have detected 25 stationary features on 18 areas during the period Dec. 11, 2015-Aug. 30, 2016. All of the features appear in a position above various highlands (e.g., Atta Regio, Beta Regio, and Aphrodite Terra) and have a tendency to appear in noon to late afternoon. The horizontal wavelength of the stationary features was estimated to be 200-300 km from the two most prominent features seen in IR2 dayside images. The amplitude pattern of the stationary feature seen in IR2 dayside images is opposite to those in LIR and UVI images. This relationship can be explaind by a hypothesis that the upward motion related to mountain wave lifts up the cloud top altitude (appear as bright in IR2) and supplies SO2 from the lower atmosphere (appear as dark in UVI), and simultaneously causes the decrease of the temperature (appear as dark in LIR). No evidence of stationary features is found in the nightside images of IR2.
6/13(火) 15:00- 6F会議室 大場 (D3)
デコンボリューション解析で取得した光球における対流速度場の3次元構造
概要: 太陽表面(光球)の対流運動は、その上空大気(彩層・コロナ)に対する加熱源および活動の駆動源と考えられているため、そのダイナミクスを理解することは重要である。近年、「ひので」衛星をはじめとする大口径望遠鏡を搭載した高空間分解能な観測的研究により、対流運動の理解が進展している。しかしながら、観測研究に基づく対流速度場の特徴(「対流速度場の振幅」・「上昇/下降流の大小関係」)と、従来の数値シミュレーションで報告されているものとで、大きな乖離が見られていた。我々は、これらの不一致が生じる原因について、観測装置の結像性能(点広がり関数PSF)による画像劣化で引き起こされていると考えた。そこで本研究では、上記の影響を取り除く画像回復(デコンボリューション)手法を開発し、「ひので」/スペクトルデータへ適用することで光球の対流速度場の取得を試みた。その結果、元のスペクトルデータにおいては高速な上昇流(振幅: -2 km/sから+1.5 km/s) を示していたのに対し、画像回復手法を適用したスペクトルデータからは、下降流が大幅に増幅されたことで上昇・下降流ともに同程度の値(振幅: -3 km/sから+3km/s) を得ることができた。本研究で得られたこの上昇/下降流の大小関係・振幅は、従来の観測成果で達成できなかったものである。このように、本画像回復手法を「ひので」のスペクトルデータへ適用することで、数値シミュレーションで予想されていた対流構造へ大きく近づくことが確認できた。
6/6(火) 15:00- 6F会議室 加藤 (D2)
電子反射法による月表面磁場測定
概要: 月は全球的な固有磁場は持たないが、磁気異常と呼ばれる局所的な残留磁化領域を持つ天体である。 このような地殻残留磁場は月や地球、火星などに存在することが知られており、様々な天体に普遍的に存在する可能性がある。 月磁気異常領域の存在は、その磁場によってプラズマ粒子の月面衝突を妨げる働きを持つ。 そのためプラズマ粒子と月磁気異常の相互作用は、月周辺のプラズマ環境や月表面の宇宙風化に大きな影響を与えている。 この相互作用を利用して月磁気異常の磁場計測する電子反射法と呼ばれる測定法が提案されている。 電子反射法とは月周辺電子の磁気ミラー効果を利用して月表面磁場強度を求める方法である。 月に到達した電子は、月磁気異常が存在しなければ月面に吸収されるが、存在する場合はピッチ角90度以上の反射電子を衛星上で観測できる。 このときのカットオフピッチ角と衛星周辺の磁場を計測することで、月表面の磁気異常強度を推定する。 電子反射法は衛星高度に依らずに月地表面の磁場強度を測ることができ、磁力計のみから得た測定では見つからなかった磁場強度領域まで測定することができる。 Apolloによっていくつかの月表面地点で電子反射計測が行われ、Lunar Prospectorによって月の全域に渡る月磁気異常磁場の測定が行われた。 かぐや衛星の観測データはそれらの衛星観測データよりも高い時間分解能で観測されており、従来よりも詳細な磁場構造の解明ができる。 本発表では、かぐや衛星観測データを用いて作成した最高空間分解能での月磁場マップを紹介し、他の測定法による月磁気異常磁場マップとの比較をする。
5/30(火) 15:00- 6F会議室 川手 (PD)
太陽フレアにおける加速電子の観測的・数値的特徴解析
概要: 太陽フレアにおいて粒子加速現象は硬X線や電波観測を用いて古くから確認されている。これまで様々な加速メカニズムがモデルとして考えられてきたが、どこで・どのように加速されているか未だ決着は付いていない。その一方で、フレアごとに加速メカニズムが必ずしも単一ではない可能性の存在も示唆されている。従って粒子加速現象を理解するためには、フレアの特徴毎にどのような加速メカニズムが考えられるか、観測値から系統的に理解することが必要になる。加速メカニズムごとに大きく差が現れるパラメータの一つとして、高エネルギー電子の加速直後のピッチ角分布がある。ピッチ角分布はフレアループ内の電子の輸送条件に大きく影響を及ぼし、その情報を観測的に得るためにはジャイロシンクロトロンによる電波放射の時間発展を理解しなければならない。本研究では、フレアループに沿った電子の輸送および電波放射・硬X線放射を数値的に解くことにより、異なる電子注入条件からそれぞれの放射の特徴を調査した。またその数値計算結果と野辺山電波ヘリオグラフ、Reuven Ramaty High-Energy Solar Spectroscopic Imagerで得られた電波・硬X線観測結果とを比較し、電子の注入条件に対して準統計的に太陽フレアの特徴解析を行った。その結果短寿命なフレアと長寿命なフレアで初期のピッチ角または電子注入場所が異なるという結果が得られた。
5/30(火) 15:00- 6F会議室 中村 (教授)
「あかつき」との20年
概要: 金星探査機あかつきは現在金星周回軌道を回っており、プロジェクトは順調に進んでいるが、ここに辿り着くまでは幾つかの困難な時期があった。本講演ではその経緯を振り返り、そこからどの様な教訓が得られるかを見る。
5/16(火) 15:00- 6F会議室 塩谷 (准教授)
惑星系科学に向けたスペースオプティクスの開発研究
概要: これまでに発表者が行ってきた、惑星系科学に向けたスペースオプティクスの開発研究から抜粋して概略を紹介する。   まず、系外惑星の大気組成を直接観測によって精査するための、宇宙望遠鏡搭載用コロナグラフの開発研究について述べる。特にバイナリ瞳マスク方式のコロナグラフに注力し、高精度微細加工、実証実験で成果を得た。得られた成果は、将来の赤外線、可視光の宇宙望遠鏡への搭載装置とすることで、地上望遠鏡では不可能な系外惑星大気の精査につながり得る。次に、木星氷衛星探査ミッション (JUICE) 搭載ガニメデレーザー高度計 (GALA) について述べる。科学目標、装置開発、また欧州主導のプロジェクトにおける日本の役割について示す。さらに、将来の宇宙望遠鏡・系外惑星観測に向けたスペースオプティクスの基礎研究についても紹介する。   これらのプロジェクト、研究の共通項は、科学目標においては、生命関連科学への志向である。手法としては、天文学的衛星か惑星科学的探査機かの区別にとらわれない宇宙機ミッション、装置開発、光学技術が挙げられる。
5/16(火) 15:00- 6F会議室 長谷川 (M1)
宇宙空間衝撃波の直接観測とデータ解析
概要: 今研究では地球近傍に存在する衝撃波であるバウショックについて、2015年に観測を行ったMMS衛星のデータを用いて解析を行った。その結果衝撃波のおおまかな構造がわかり、パラメータの1つであるθ_Bnが先行研究と矛盾しない範囲で求まった。
5/9(火) 15:00- 4F会議室 島 (D3)
分子雲衝突の3次元シミュレーションで探る大質量星形成条件
概要: 大質量星は超新星爆発などのフィードバックによって星間空間の物理状態や物質循環を支配し、銀河進化にも影響を与えるため非常に重要である。私達はその形成過程に注目しており、小質量星に比べてまだ不明な点が多い。大質量星形成のためには原始星からの輻射圧を超えて質量降着が持続しなければならず、そのためには小質量星形成の場合と比べて100倍以上高い降着率(10^{-4} Msun/yr)が必要となる。この高い質量降着率を実現する方法として、分子雲衝突が注目されている。分子雲同士が超音速で衝突することで衝撃波が発生し、その衝撃波によって高密度の分子雲コアと大質量星の形成が期待される。近年、分子雲衝突によって形成されたと考えられる大質量星の観測結果(Fukui et al. 2014など)が多数報告されており、シミュレーションとの比較研究の重要性が増している。そこで私達のグループで分子雲衝突の3次元シミュレーションを行っている。本研究では、Takahira et al. (2014)では考慮されていなかった星形成をモデル化するためにsink particleを導入している。初期条件として球対称密度分布を持つ等温静水圧平衡の分子雲を2つ仮定し、自己重力・乱流・heating・coolingを考慮した計算を行った。衝突させなかった場合と衝突させた場合の結果を比較することで衝突が星形成に与える影響を調べた。その結果、衝突によってtop-heavyな質量関数が形成されることが明らかになった。NGC6334の観測結果(Munoz et al, 2007)と比較することで、その領域が分子雲衝突によって形成された可能性について議論する。また、詳細な観測との比較研究を行うためにより現実的な初期条件を使用したシミュレーションも行っている。発表ではその現状についても紹介する。
5/9(火) 15:00- 4F会議室 阿部 (M1)
ひのでとIRIS観測衛星で探る太陽大気プラズマ加熱
概要: 上層大気の彩層・コロナは下層大気の光球よりも高温であるが、太陽の熱源は内部にあるためこの温度構造は単純な熱伝導では達成されず、非熱的なメカニズムによって維持されている。非熱的なメカニズムの有力な説として「波動による加熱」が考えられている。そのため、太陽大気中の波動によるエネルギーフラックスの推定が重要であり、エネルギーフラックスを推定するためには、太陽大気中の波動観測および波動モードの特定が必要である。本研究では観測衛星「ひので」を用いて光球面の波動観測を行い、物理量の振動を捉え波動モードを特定した。また、後にIRIS衛星との共同観測を行うため、ひのでとIRISの観測位置合わせを行った。
5/1(月) 15:00- 5F会議室 大早田 (M1)
観測ロケット搭載用真空計開発のための基礎検討
概要:  地球の下層大気では,乱気流等の影響から気体成分が均質な気体となっているが,高度70km以上の大気では,太陽EUVなどによって中性大気の一部が電離大気となる.電離大気と中性大気の運動方向は異なるが両者は衝突し,運動量が輸送される.この運動量輸送がこの領域における電子密度擾乱などの現象にかかわっていると考えられ,その運動量輸送について議論するためには,中性粒子の運動を把握する必要がある.
 そこで,熱圏下部での中性大気密度の測定および中性粒子の運動である中性風の推定を行う手段として,観測ロケットへの搭載を前提とした真空計の開発を行うことを目標とし,本研究ではそのための基礎検討を行った.使用する真空計の候補として真空ゲージMG-2Fを選択し,まずはこの真空計が観測ロケットの振動環境に耐えられるかどうか,振動試験機を用いて振動試験を行った.さらに,真空計を観測ロケットに搭載して飛行させた場合に真空計に加わる圧力を計算し,その計算結果から真空計に要求される測定精度についての考察を行った.
5/1(月) 15:00- 5F会議室 田寺 (M1)
電位が変動する飛翔体で使用可能なラングミューアプローブの開発
概要: 宇宙空間を飛翔する人工衛星の様な飛翔体は,一般的に数ボルトの帯電をしており電位が変動している.しかし,導電性テザー(EDT)システムのように高電圧を取り扱う飛翔体の電位は,大きく変動してしまう.このような飛翔体上で一般的なラングミューアプローブによる測定では,大きな電位の変動によって正常な測定が出来ない.このような背景の下で本研究では,スペースサイエンスチャンバーと呼ばれる実験装置の中に電離圏中のプラズマ環境を模擬し,この中に電位が大きく変動した飛翔体を模擬する.この様な環境下でも正常に電流ー電圧特性の測定を可能にする静電プローブ回路を設置しこの回路の実証実験を行う.
 先行研究で行われた回路の実証実験では,この静電プローブ回路においてバイアス電圧値を6種類に分けて与え,概ね電流ー電圧特性を捉えることが出来ているが,電流ー電圧特性の立ち上がり部分を捉えるための方法として,プローブに広い範囲で電圧を印加し電流―電圧特性の立ち上がり部分を捉え,そこに流れてきた電流値の最大傾きのタイミングと同じタイミングでプローブに印加した電圧値を次の掃引電圧値とし,これを中心に狭い範囲で電圧を掃引するが,この狭い範囲で掃引する電圧の取得,決定方法に変更が必要なことが分かったため,この変更内容を考え,C言語を用いてシミュレーションを行った.
 このシュミレーションは先行研究で取得されたデータを用いてC言語を用いたシュミレーションである.この結果として,各条件で電流値の最大傾きを捉えることが出来た. この本研究で考えたC言語プログラムの回路内ロジックをEDT-FLP回路内のFPGA内にVHDLプログラムでメーカーに依頼し実装を行い,飛翔体の帯電を模擬するために回路をGNDせずにバイアス電圧で電位を変化させ実証実験を行った.この実証実験の結果として,各バイアス電圧での電流値の最大傾き付近を適切に中秋津で着ていることを確認した.また,この結果と先行研究での実証実験の結果とを比較すると開発当初のロジックに対して変更を加えた結果,この回路の性能を向上させることが出来た.
4/25(火) 14:30- 5F会議室 石城 (M1)
スーパーアースの大気獲得過程
概要: 質量が地球の数倍から数十倍程度のスーパーアースと呼ばれる系外惑星は,木星型惑星に比べれば薄いが,地球型惑星に比べて厚い大気を持つことが知られている.一般的な惑星系形成論では惑星がスーパーアースのような中途半端な厚さの大気を持つことは難しいが,原始惑星系円盤が散逸しつつある中で大気を獲得する状況を考えれば,惑星が中途半端な大気を持つ可能性がある. また,大学院では別のテーマで研究する予定なので,大学院での研究内容も説明する.
4/25(火) 14:30- 5F会議室 滑川 (M1)
MAVEN探査機の観測データ解析に基づく火星大気流出機構の研究
概要: 太古の火星は液体の水が存在できるほど温暖な気候だったが、その後何らかの理由で現在のような寒冷で乾燥した気候へ変化したと考えられている。この急激な気候変動の原因としては、CO2のような温室効果ガスの宇宙空間への流出が第1に考えられるが、このように大量のCO2を流出させることのできる機構についてはほとんどわかっていない。大気流出の主要機構の候補としては、火星の上層大気と太陽風の相互作用による惑星イオンの流出を挙げることができる。本研究においてはこの機構に着目し、NASAのMAVEN探査機の観測データを基に、火星の誘導磁気圏尾部において観測された濃く冷たいイオンアウトフローイベントの特徴を調べた。また同時に、MAVENの搭載機器の一つであるSTATICの観測データに基づき、流出しているCO2+イオンの数密度のより正確な推定についても試みた。
4/25(火) 14:30- 5F会議室 長谷川 (M1)
宇宙空間衝撃波の直接観測とデータ解析
概要: 今研究では地球近傍に存在する衝撃波であるバウショックについて、2015年に観測を行ったMMS衛星のデータを用いて解析を行った。その結果衝撃波のおおまかな構造がわかり、パラメータの1つであるθ_Bnが先行研究と矛盾しない範囲で求まった。






最終更新日 2018.02.16 <編集: 星>