2009年度 宇宙プラズマ研究系セミナー



■場所 :A棟5F会議室 (変更の場合は赤字)
■時間 :水曜14:00- (変更の場合は赤字)
■連絡先:神山 徹 ( kouyama [AT] stp.isas.jaxa.jp )
■備考 :発表時間は一人当たり45分程度 * 2人




これまでの実績
開催日時・場所 発表者 (所属・身分)
3/10(水) 14:00- 6F会議室 浅村 和史(助教)
3/3(水) 14:00- 5F会議室 西村 夏奈(M1)
2/26(金) 14:00-
4F会議室
新田先生 (筑波技術大学)
2/24(水) 14:00- 5F会議室 上村 洸太(M1)
富永 裕(M1)
2/17(水) 15:00- 5F会議室 特別セミナー:小野さん(京大 D3)・総括
1/29(金) 14:00- 6F会議室 修士論文発表練習会 
麻生 直希(M2) [タイトル・アブストラクト]
足立 潤 (M2) [タイトル・アブストラクト]
安藤 紘基(M2) [タイトル・アブストラクト]
井口 恭介(M2) [タイトル・アブストラクト]
小林 光吉(M2) [タイトル・アブストラクト]
下村 直子(M2) [タイトル・アブストラクト]
1/13(水) 14:00- 5F会議室 田中 健太郎(PhD)
1/6(水) 14:00- 5F会議室 小林 光吉(M2)
白川 慶介(東大星野研・M2)



発表の概要
開催日時・場所 発表者 (所属・身分)
3/3(水) 14:00- 5F会議室
西村 夏奈 (M1)
水星探査計画BepiColombo/MMO搭載用高エネルギーイオン観測器(HEP -ion)耐放射線特性評価 Performance of SSSDs in the High Energy Particle detector (HEP-ion) for BepiColombo/MMO mission under high radiation environment [発表資料(pptx)]
3/3(水) 14:00- 5F会議室 西村 夏奈 (M1)
水星探査計画BepiColombo/MMO搭載用高エネルギーイオン観測器(HEP -ion)耐放射線特性評価 Performance of SSSDs in the High Energy Particle detector (HEP-ion) for BepiColombo/MMO mission under high radiation environment
概要:
BepiColombo/MMO は水星磁気圏の構造およびダイナミクスを解明するという目的 で、ESAとJAXAが共同して2014年の打ち上げを目指している水星周回衛星であ る。水星磁気圏を理解するためには広いエネルギーレンジのプラズマ粒子を直接 観測することが重要であり、MMOには5種類のプラズマ粒子観測器が搭載される。 その観測器の一つであるHEP-ionは、水星磁気圏内で加速された粒子や太陽風起 源の粒子といった高エネルギー粒子(イオン)の分布を計測する。HEP-ionでは、 低エネルギーまで計測できるよう入射面の不感層を薄くしたシリコン半導体検出 器を用いてエネルギー分析(30keV〜1500keV)を行い、カーボンフォイルとMCP (Micro Channel Plate)を利用したTOF(Time-Of-Flight)ユニットを用いて速度分 析から質量分析を行う。 水星探査において最大の課題となるのが、太陽による強烈な光・熱・放射線への 対策である。水星を周回するMMOは、地球の5〜11倍の太陽輻射と太陽放射線、水 星表面からの太陽光反射および赤外域熱輻射に曝される。プラズマ粒子観測器の 場合、粒子の入射口が衛星の開口部から衛星外部に露出することが必須であるた め、外部からの熱入力・放射線はその内部に組み込まれるシリコン半導体検出器 に影響を及ぼすことになる。そこで我々は、検出器の電極を細分化し一つ一つの 電極を新規開発のアナログASICで読み出すことで、温度上昇に伴い増加するシリ コン半導体からのノイズの影響を最小限に抑える検出方式とした。現段階では、 HEP-ionの内部温度は最高90℃に達することが熱真空試験にて確認されたが、シリ コン半導体検出器は90℃においても正常に動作し、エネルギー分解能19keVで下限 値38keVまでのエネルギー検出が可能であることを実証した。 以上の試験は簡単のため放射線源を用いて実施したが、次に実際の放射線の影響 を調べるため、放射線医学総合研究所にて重粒子線による照射試験を行った。内 容は、@宇宙環境での過大パルスを想定したSiビームの照射、A主な測定対象とな る数百keV付近の高エネルギー粒子を想定したHビームの照射である。本発表では その詳細結果について報告する。
2/26(水) 14:00- 4F会議室
新田先生 (筑波技術大学)
MHDリコネクションの新モデル:Petschekモデルを超えて [発表資料]
2/26(水) 14:00- 4F会議室 新田先生 (筑波技術大学)
MHDリコネクションの新モデル:Petschekモデルを超えて
概要:
磁気リコネクションは、プラズマ中で磁場のエネルギーを変換する素過程の一つ である。天体物理、地球磁気圏、宇宙天気予報、核融合等、多様な分野での応用 が重要視されているため、近年急速に注目されている。しかし、応用に専念でき る程、素過程としての理解は十分ではないと講演者は考えている。とうの昔に解 決された問題だと思われる方が多いと思うが、MHDリコネクションに付いてさえ未 解決の問題が残されている。解決策として、講演者はMHDリコネクションの新しい 理論モデルを構築し、これをPetschekモデルに代わる新たな標準理論モデルとす ることを提唱している。 プラズマ中のハイパワーエンジンプロセスとして、1964年に初めての「速いリコ ネクション」モデルであるPetschekモデルが提案された。このモデルは、当時謎 であった太陽フレアや地球サブストームを説明しうる程ハイパワーであったため 注目された。リコネクションレイトの磁気Reynolds数に対する特徴的な対数依存 性は、普遍的にハイパワーのリコネクションが生じうる事を意味しており、非常 に魅力的である。しかし、この対数依存性を実現するには、隠れた仮定として「 磁気Reynolds数が増大するにつれ、電流シートは無限に薄くなりうる」が必要で ある事に注意されたい。この仮定は、電流シート厚さがイオンのLarmor半径程度 にまで薄くなったところで破綻する。それ以上に磁気Reynolds数が大きくなると 、どうなるのだろうか?この問題に真面目に取り組んだ研究はこれまで無かった 。
講演者の提唱する新モデルである「自己相似時間発展モデル」は、流体描像での 巨視的研究によって以下の新たな知見を与えた。異常抵抗の微視的素過程を考察 する替わりに、磁気レイノルズ数の値の広い変化に対する挙動を網羅的に調べた 。もう一つの無次元パラメータであるプラズマβ値についても挙動を網羅的に調 べた。リコネクションシステム全体を自己無撞着に準解析的に解いた結果、リコ ネクションによって生じた流れが自発的にリコネクションレイトを決定している 事が明らかになった。特に、従来の研究で十分に解明されていなかった高磁気レ イノルズ数領域でのリコネクションの挙動(速い解から遅い解への連続遷移)を 明らかにした点が重要である。
また、今日隆盛を極めている計算機による流体シミュレーションでリコネクショ ンを研究する際には、特に高磁気レイノルズ数領域で不可避の本質的困難を伴う ことにも注意しなくてはならない。実は、広く普及しているメッシュ法を用いた シミュレーションでは、高磁気レイノルズ数リコネクションの計算は事実上行え ない。天体現象では、高磁気レイノルズ数での現象がしばしば重要となるが、こ の問題については流体シミュレーションは有効でないと言える。この事情から、 従来の研究では高磁気レイノルズ数でのリコネクションについての理解はほとん どなされていないはずである。例えば、「ひので」が明らかにした、太陽での極 小フレアは高磁気レイノルズ数でのリコネクションとして理解できる可能性があ るが、これらを理解するには、自己相似モデルを適用するのが最善である。
2/24(水) 14:00- 5F会議室
上村 洸太(M1) :
太陽風イオンの月面散乱における散乱角依存性に関する研究 (Angular dependence of the solar wind proton scattering at the lunar surface)
[発表資料(ppt)]
富永 祐 (M1) :
Development of a low energy electron spectrometer for SCOPE
[発表資料(pdf)]
2/24(水) 14:00- 5F会議室 上村 洸太(M1)
太陽風イオンの月面散乱における散乱角依存性に関する研究 (Angular dependence of the solar wind proton scattering at the lunar surface)
概要:
「かぐや」衛星搭載MAP-PACEは、高度100kmの月周回軌道で低エネルギーイオンの連続観測を行った。 「かぐや」衛星で月周辺のプラズマ環境が詳細に観測されるまでは、太陽風と月面との相互作用はよく分かっておらず、 特に太陽風の月面衝突後の振る舞いは観測に基づいた理解はされていなかった。 これまでの「かぐや」衛星搭載MAP-PACEの観測により、 太陽風プロトンが月面との相互作用を介してエネルギーを失い月面と反対方向に戻る散乱現象が観測された。 観測された散乱プロトンのエネルギー分布及び散乱の様子を調べるため、 MAP-PACEのうちイオン観測器であるIMAの半球面の視野を16×64に分割して計測したデータを利用し、 太陽風プロトンの月面に対する入射角と散乱プロトンの月面に対する出射角、 および散乱プロトンの持つエネルギーの関係を調べた。 本発表では、この結果について報告する。
2/24(水) 14:00- 5F会議室 富永 祐 (M1)
Development of a low energy electron spectrometer for SCOPE
概要:
We are newly developing a low-energy charged particle analyzer for the future satellite mission SCOPE (cross Scale COupling in the Plasma universE). The main purpose of the mission is to understand the cross scale coupling between macroscopic MHD scale phenomena and microscopic ion and electron-scale phenomena. In order to understand the dynamics of plasma in small scales, we need to observe the plasma with an analyzer which has high time resolution. For ion-scale phenomena, the time resolution must be as high as ion cyclotron frequency (10 sec) in Earth's magnetosphere. However, for electron-scale phenomena, the time resolution must be as high as electron cyclotron frequency (1 msec). The GEOTAIL satellite that observes Earth's magnetosphere has the analyzer whose time resolution is 12 sec, so the satellite can observe ion-scale phenomena. However in the SCOPE mission, we will go further to observe electron-scale phenomena. Then we need analyzers that have at least several msec time resolution. Besides, we need to make the analyzer as small as possible for the volume and weight restrictions of the satellite. The diameter of the top-hat analyzer must be smaller than 20 cm. In this study, we are developing an electrostatic analyzer that meets such requirements using numerical simulations. The electrostatic analyzer is a spherical/toroidal top-hat electrostatic analyzer with three nested spherical/toroidal deflectors. Using these deflectors, the analyzer measures charged particles simultaneously in two different energy ranges. Therefore time resolution of the analyzer can be doubled. With the analyzer, we will measure energies from 10 eV to 22.5 keV. In order to obtain three-dimensional distribution functions of low energy particles, the analyzer must have 4-pi str field of view. Conventional electrostatic analyzers use the spacecraft spin to have 4-pi field of view. So the time resolution of the analyzer depends on the spin frequency of the spacecraft. However, we cannot secure the several msec time resolution by using the spacecraft spin. In the SCOPE mission, we set 8 pairs of two nested electrostatic analyzers on each side of the spacecraft, which enable us to secure 4-pi field of view altogether. Then the time resolution of the analyzer does not depend on the spacecraft spin. Given that the sampling time of the analyzer is 0.5 msec, the time resolution of the analyzer can be 8 msec. In order to secure the time resolution as high as 10 msec, the geometric factor of the analyzer has to be as high as 8*10{sup}-3{/sup}(cm{sup}2{/sup} str eV/eV/22.5deg). Higher geometric factor requires bigger instrument. However, we have to reduce the volume and weight of the instrument to set it on the satellite. Under these restrictions, we have realized the analyzer which has the geometric factors of 7.5*10{sup}-3{/sup}(cm{sup}2{/sup} str eV/eV/22.5deg) (inner sphere) and 10.0*10{sup}-3{/sup}(cm{sup}2{/sup} str eV/eV/22.5deg) (outer sphere) with diameter of 17.4 cm.
2/17(水) 15:00- 5F会議室
小野さん (京都大学 : D3)
Interaction between Ion Composition in the Plasma Sheet and Substorm Onsets: Geotail Satellite Observations [発表資料]
2/17(水) 15:00- 5F会議室 小野さん(京都大学)
Interaction between Ion Composition in the Plasma Sheet and Substorm Onsets: Geotail Satellite Observations
概要:
球磁気圏尾部のプラズマシートには、太陽風や地球起源のイオンが存在す る。本研究ではその中でも特に質量の大きい酸素イオンに注目し、その分布とサ ブストームとの関係について議論する。具体的には、プラズマシートのイオン組 成がサブストームの発生に与える影響および、サブストーム時のイオン組成の変 化について調べるため、Geotail衛星のデータを統計解析した。その結果、プラ ズマシートのイオン組成はサブストームの発生を助け、またそれによって起こっ たサブストーム時に発生する磁場擾乱によってイオン組成が変化することが分 かった。このことは、イオン組成とサブストームには密接な関係があり、互いに 影響しあっていることを示唆している。
1/29(金) 14:00- 6F会議室
井口 恭介(M2) :
ΔΣ変調方式ディジタル-アナログ変換器を用いた高精度磁力計の開発
Development of high resolution digital fluxgate magnetometer using delta-sigma DAC [Abstract(pdf)]
麻生 直希(M2) :
SELENE搭載極端紫外光撮像による酸素イオン散逸の太陽風との応答 
Oxygen Ion Outflow Response to the Solar Wind Condition derived from the Extreme Ultraviolet Imaging on SELENE [Abstract(pdf)]
足立 潤(M2) :
X-lineの活動と磁気島移動の相互作用 
Interactions between activity of X-lines and motion of a magnetic island [Abstract(pdf)]
安藤 紘基 (M2) :
かぐや子衛星2機による月の電離層の同時掩蔽観測 
Observation of the lunar ionosphere by the dual-spacecraft radio occultation technique in SELENE [Abstract(pdf)]
小林 光吉(M2) :
ERG衛星搭載用高エネルギー電子観測機器の検討 
Design and analysis of high-energy electron detector for ERG [Abstract(pdf)]
下村 直子(M2) :
2次元MHDシミュレーションを用いたKelvin-Helmholtz渦の合体成長過程に関する研究 
A study of the coalescence process of Kelvin-Helmholtz vortices with 2D-MHD simulation [Abstract(pdf)]
1/13(水) 14:00- 5F会議室
田中 健太郎(PhD) :
大磁気島の融合に関するアンチX-lineに於ける最もエネルギー化され た電子生成
[発表資料(pdf)]
1/13(水) 14:00- 5F会議室 田中 健太郎(PhD)
大磁気島の融合に関するアンチX-lineに於ける最もエネルギー化され た電子生成
概要:
本発表が2次元PICシミュレーションを用いて以下の事を示す.大磁気島の融合を 促進するアンチX-lineが,システム中で最もエネルギー化された電子を生成す る.アンチリコネクションが駆動型の様式であるため,それに伴う電場が普通の リコネクションで起こりうる電場より1桁大きい.そのことが電子の強加速の原 因である.本結果を用い,太陽フレア内に於ける電子加速過程への可能的な応用 が議論される.
1/6(水) 14:00- 5F会議室
小林 光吉(M2) :
ERG衛星搭載用高エネルギー電子観測器の設計(修論中間発表)
[発表資料(ppt)]
白川 慶介(東大星野研:M2) :
降着円盤における磁気回転不安定性の多流体線型解析(修論中間発表)
[発表資料(pdf)]
1/6(水) 14:00- 5F会議室 小林 光吉(M2)
ERG衛星搭載用高エネルギー電子観測器の設計
概要:
地球近傍の内部磁気圏においては、磁気嵐に伴う荷電粒子の急激な増減がある 事例がこれまで観測によって明らかになっている。特に、放射線帯の相対論的電子 についてはその生成・加速過程について諸説挙げられている が未だ結論が出ていない。 粒子加速の重要な要素として、ホイッスラー波等による波動と粒子の相 互作用が挙げられているが、過去の衛星においては軌道や観測エネルギー範囲の 問題から、磁気赤道面での粒子と波動の同時観測が不十分であった。そこで現 在、磁気赤道面におい て粒子と波動の統合観測を行う小型衛星 ERG が提案され ている。ERG の測定するエネルギー領域のうち、特に数百 keV の準相対論的な エネルギーを持つ電子については、相対論的エネルギーを持つ電子へと加速され る「種」粒子と考えられており、このエネルギー領域の電子を直接観測する事は 大変重要な事である。この「種」となるエネルギー領域を観測するのが ERG の 高エネルギー電子観測器 HEP-e であり、電子のエネルギーとピッチ角を精度良 く観測することが求められている。本研究ではERG搭載用の高エネルギー電子 観測器 HEP-e について、モンテカルロシミュレーションによる各種性能評価を 行った。エネルギー分解能や角度分解能、そして放射線帯観測に欠かせない耐放 射線性について、実際の検出器構造を仮定しエネルギー決定精度の評価を行っ た。また、これら物理量の観測を阻害しうる様々なバックグラウンドイベントの 影響についてまとめた。その内容・結論について述べる。
<修士論文中間発表を聞いて>
イントロが充実していて、本論に入り込みやすかったです。研究意義がわかりやすかっ たです。測定の原理についての説明が充実していて、専門外の人にも親切な発表だと思いまし た。装置(HEPe)の概略図は3Dで大変わかりやすかったのですが、サイズを書いておいてほ しかったです。図(グラフ)の説明をもう少し充実させてほしかったです。軸の値がわかりにくかった り、何のデータかわからず話について行けなくなることが何回かありました。測定エネルギー帯が違いますが、 同じく測定器開発を行っているので、発表形式を参考にしたいと思います。 (齋藤研M1:富永)
丁寧に説明していて分かりやすかったです。図の見せ方をもう少し工夫するとより良いかと思いました。 例えば、電子と陽子を比較するグラフでは縦軸のスケールを合わせる、縦軸・横軸のタイトルを大きくする、 重要な部分を色付けして一目で分かるようにするなど。 また、スライドに入れる文章はキーワードだけにする方が説明をより聞いてもらえると思います。 発表の内容はまとまっていて良かったです。 (高島研:西村)
1/6(金) 14:00- 5F会議室 白川 慶介 (M2)
降着円盤における磁気回転不安定性の多流体線型解析
概要:
宇宙には大きな質量を持つ天体の周りにガスが円盤状に回転しながら 中心に向かって落下している「降着円盤」と呼ばれる構造が普遍的に 存在している。磁気回転不安定性はこの様な降着円盤中で乱流を引き起こし、 乱流粘性と呼ばれるきわめて大きな粘性を通じて降着円盤中の 角運動量および物質の輸送に大きく関わるプラズマ不安定現象である。 一方で近年、通常のプラズマ中に質量比にして1%程度の 帯電ダストを考慮することによって新たな波動モードが励起され、 通常のプラズマ理論に様々な修正が加わることが報告されている。 本研究では従来MHD方程式を用いて行われている磁気回転不安定性の 解析を、帯電ダストの成分を考慮した多流体解析に拡張して行っている。 今回は線型解析の結果得られた分散関係とその解析の途中経過を 主に報告する予定である。
12/25(金) 14:00- 5F会議室
高木 聖子(東大岩上研:M2) :
金星における近赤外光観測高度の特定(修論中間発表)
[発表資料(ppt)]
山路 崇(東大岩上研:M2) :
金星昼面雲上におけるCO混合比半球分布の地上分光観測(修論中間発表)
[発表資料(ppt)]
安藤 紘基(M2) :
かぐや子衛星2機による月の電離層の電波掩蔽観測(修論中間発表)
[発表資料(ppt)]
12/25(金) 14:00- 5F会議室 高木 聖子(M2)
金星における近赤外光観測高度の特定
概要:
金星は厚い硫酸の雲に覆われているため、雲の下の領域を観測することは難し い。しかし、1983年に 1-2.4 μmの近赤外領域において、いくつかの波長では金 星の雲を見透かせることが分かった。この波長の光に感度を持つカメラを探査機 に搭載し、金星周回軌道から金星の大気運動を詳細に調べる計画(あかつき (Planet-C),JAXA, 2010年打ち上げ)が現在進行している。 あかつきには複数の光を観測するために 5 台のカメラが搭載される。光は大気 への通りにくさ(光学的厚さ)が波長ごとに異なっているため、波長が違えば 見える高度(観測高度)が異なる。つまり 5 台のカメラは観測対象・観測高度 が異なり同時に異なる高度を観測できるが、その観測高度については疑問が挙げ られる。金星における紫外光、中間赤外光の観測高度はそれぞれ 65 km、 70 km と言われている。そして、あかつきで中心的な役割を果たす近赤外光の観測高度 は 50 km と予想されている。しかし金星の近赤外光観測高度を定量的に見積 もった例は今までにない。 あかつきによって金星大気を 3 次元的に理解するためには搭載カメラの観測高 度を高い精度で決めることは最重要課題である。本発表では分子線データ、金星 大気モデル、太陽散乱光放射輸送コードを用いた観測高度特定手法を紹介し、 近赤外光観測高度特定の現状を報告する。
12/25(金) 14:00- 5F会議室 山路 崇 (M2)
金星昼面雲上におけるCO混合比半球分布の地上分光観測
概要:
金星中層大気にはCO2サイクルとSulfurサイクルと呼ばれる二つの化学サイクル がある。前者はCO2大気の安定に、後者は硫酸雲生成に関係している。両者には それぞれ未解決問題があり、前者では光化学モデルによる大気組成の再現、後者 ではH2SO4のコラム生成率に関する議論が決着していない。これらの問題へのア プローチには両者への大きな関わりから、COの三次元的な分布を観測で得ること が重要である。その中の1ピースとして本研究では初めて昼面雲上におけるCO混 合比半球分布を得た。観測は2007年5月26-6月1日、11月10-13日、2009年6月12- 15日において、マウナケアのIRTF3m望遠鏡・CSHELL分光器を用いて行い、金星昼 面からの太陽散乱光を分光撮像した。結果からCO混合比について、(1)半球分布 の30%程度のばらつき(2)絶対値の時期による有意な差(3)経度方向一様(4)低・中 緯度で緯度方向一様、という結論を得た。
12/25(金) 14:00- 5F会議室 安藤 紘基 (M2)
かぐや子衛星2機による月の電離層の電波掩蔽観測
概要:
1960年代の電波天体を用いた掩蔽観測や1970年代のロシアの月ミッションでの電 波掩蔽観測により、昼側の月面近傍に密度にして数百個 cm-3 の電子が存在する ことが示唆された。一方、月には地球のような磁気圏が存在しないため、太陽風 の電場によりプラズマが速やかに剥ぎ取られることが予想される。そのためせい ぜい106個 cm-3 程度の密度である月の中性大気が電離されることだけを考慮す ると、月周辺の電子密度は1個 cm-3 程度であると理論的に見積もられる。また 電波天体を用いた掩蔽観測で月の電離層の存在を否定するような結果も得られて いるということもあり、一般的には月の電離層の存在は受け入れられていない。 月面近傍のダストや水蒸気からの光電子放出など、これまで考察されてこなかっ た電離源が寄与する可能性もあるが、見積もりには大きな不確定が伴う。もし月 に電離層があるとなれば月の環境科学に対して新たな知見を得る事になる。かぐ や電波科学(RS)ではこの問題に決着を付ける事を目的としている。  私は、かぐやミッションにおける2機の子衛星を同時に用いる電波掩蔽により 月の電離層の観測をするという、世界でも類をみない手法を試みた。従来の電波 掩蔽観測のように電波源が一つの場合は、地球電離層や太陽風プラズマの寄与と 月電離層の寄与を分離できないという問題があったが、今回は1機が月で掩蔽さ れている間にもう1機で地球電離層と太陽風プラズマの寄与をモニターすること により、月周辺の電子密度のみを測定できる。本発表では同時観測で得られた データの解析手法や解析結果を述べると共に、月の電離層生成に寄与する可能性 のある要素についても論じる。
<修士論文中間発表を聞いて>
解析手法に様々な工夫を加え、貴重な機会で得られたデータを最大限活用しようとする 姿勢が見られて感心しました。ノイズに対する処理など、参考にしてみようと思います。 疑問として、電離層起源について、いくつかの理論的な提案をしていましたが、その理論と解析データが どう繋がるか、もう少し説明をしてもらえればと思います。 (中村研:神山)
12/22(火) 16:00- 5F会議室
麻生 直希(M2) :
SELENE衛星搭載UPI-TEX撮像観測による散逸酸素イオンとの太陽風お よび地磁気変動との関連性(修論中間発表) [発表資料(ppt)]
12/22(火) 16:00- 5F会議室 麻生 直希(M2)
SELENE衛星搭載UPI-TEX撮像観測による散逸酸素イオンとの太陽風お よび地磁気変動との関連性
概要:
地球の電離圏で生成されるプラズマは、極域から磁気圏へ散逸している事が Dynamic ExplorersやAkebonoといった極軌道衛星により実証された。 しかし、 散逸メカニズムがいつどこで起きているのかという問題はいまだ明らかにされ ていない。この解決に、時間的、空間的変化を 観測可能なプラズマ撮像観測 が期待されている。  本研究では、かぐや搭載プラズマイメージャーUPI-TEXによって撮像された 地球周辺酸素イオン画像を用いて、散逸酸素イオンと太陽風および地磁気活 動度との関係性を調べた。解析において、撮像画像に混入するライマンβの除 去や観測の視線の変化による影響を正規化により排除し、酸素イオン輝度値と 太陽風および地磁気活動度との相関を取った。本発表では、その結果について 報告する。
<修士論文中間発表を聞いて>
月周回衛星から地球を観測するという面白い研究内容でした。観測データ数は少ないが、 その中から最大限の成果を引き出そうとしているのが伝わってくる発表でした。 イントロダクションの説明がしっかりしており、メインの研究内容に入っていきやすい発表でした。 (齋藤研M1:上村)
かぐや衛星搭載のUPI/TEXのデータを扱うために必要な磁力線モデルやLy-βモデルなどを、 かぐやでの観測にあうように適用させ成果が得られており、研究の進捗が素直に見られて良かったと思います。 データの解析は試行錯誤の段階かと思いますが、太陽風との相互作用について、 過去の研究と比較してどうかなど今後明らかにしていって欲しいと感じました。(中村研:神山)
12/9(水) 15:00- 5F会議室
下村 直子(M2) :
2次元MHDシミュレーションを用いたKH渦の合体成長過程に関する研究(修論中間発表) [発表資料(pptx)]
足立 潤(M2) :
2流体数値計算を用いた磁気島の時間発展に関する研究(修論中間発表) [発表資料(ppt)]
12/9(水) 15:00- 5F会議室 下村 直子(M2)
2次元MHDシミュレーションを用いたKH渦の合体成長過程に関する研究
概要:
Kelvin-Helmholtz(KH)不安定は密度差や速度差のある流体の境界で生じる流体 不安定であり、非線形状態になると渦構造になることが知られている。地球磁気 圏脇腹は反太陽方向に流れる太陽風と磁気圏プラズマが接しており、密度勾配や 速度勾配があることからKH不安定が励起しやすい領域と考えられる。近年の衛 星による観測でKH渦とみられる構造も発見されている。しかし観測されたKH渦 の波長は線形理論によって予想されていた大きさよりもはるかに大きく、これは いまだ解決されていない問題である。長波長の渦が形成される過程として長波長 渦の単純成長や流れに乗ることによる波長の伸び、渦合体などが考えられる。本 研究では非線形状態で起こる渦合体に着目し、観測されるような長波長の渦が形 成される過程を2次元MHDシミュレーションを用いて調べている。今回の発表 では主に周期境界条件下での結果と全圧の振る舞いに着目した合体の仕組みにつ いて述べる。
<修士論文中間発表を聞いて>
KH渦は地球の大気でも見られる身近な現象ということで興味深く聞かせていただきました。 KH渦の時間発展の様子を全圧に着目していましたが、その中の内分けとして密度、磁場、 温度などがどのように設定できるかなど、まだまだわからないことがたくさんあるように感じました。 これまで行われてきた観測、シミュレーションとの相違をもう少し鮮明に話してほしいと思いました。 動画を効果的に使われていたので参考にしたいと思いました。(齋藤研M1:白井)
これまでの発表から一歩進んで、知りたい物理に迫るために有効なセットアップを採用していて 研究の発展がしっかりと見てとれて感心しました。またシミュレーションで得られた結果を 必ず観測と比較し考察していて、地に足が着いている姿勢を見習いたいと思います。 単純な流体ではなく、磁気流体ならではの渦の合体成長の特徴があるのかないのか、 また全圧だけでなく、プラズマ圧、磁気圧のそれぞれの役割についてももっと知りたいと思いました。 (中村研:神山)
12/9(水) 15:00- 5F会議室 足立 潤 (M2)
2流体数値計算を用いた磁気島の時間発展に関する研究
概要:
地球磁気圏尾部などの十分に長い電流層では、磁力線方向に離れた複数点で磁気 リコネクションが発生することで、X-lineに挟まれた磁気島が形成されると考え られている。実際に、地球磁気圏尾部電流層において移動する磁気島が観測され た例はあるものの、衛星観測のみでは磁気島の時間発展を調べることは難しい。 そこで、本研究では、2.5次元の2流体数値シミュレーションを用いて、電流層上 の磁力線方向に離れた2点で同時にX-lineが発生し、その間に1つの磁気島が形成 されたときの、磁気島の時間発展過程、およびそのタイムスケールを調べた。 磁気島を挟む両側のX-lineの強度が同じ場合、両X-lineでつなぎ変わった磁力線 が次々に磁気島に積み重なることで磁気島は静止したまま膨張成長する。しか し、磁気島を挟む両側のX-lineの強度が異なる場合は、磁気島は同様に膨張成長 するが、磁気島両側の磁気張力の差によって強度の小さいX-lineの方向に磁気島 が加速される。さらに、この磁気島の移動によって強度の小さいX-lineにおける inflowが阻害されるため、強度の小さいX-lineの活動が弱まる。すると、磁気島 両側の磁気張力の差がさらに大きくなるため、さらに磁気島が加速される。この ように、磁気島が一度移動を始めると、磁気島の加速と、強度の小さいX-lineの 活動の低下が急激に起こる。そして、最終的には強度の小さいX-lineの活動が停 止し、磁気島の成長は止まる。また、磁気島が移動をはじめるまでに要する時間 が長い場合、数値計算によって磁気島が成長しなくなるまでのタイムスケールを 調べることは難しい。そこで、磁気島の成長、移動過程をモデル化し、初期の磁 気島の大きさ、初期のX-lineの強度差と、磁気島成長のタイムスケールの関係を 調べた。
<修士論文中間発表を聞いて>
磁気島の時間発展およびモデル作成についての発表で、とても丁寧かつ論理的に話を 組み立てていたように思えました。全体的にただ式を追うばかりではなく、グラフやコンター図などを 用いて素人目線でも分かった気にさせてくれる良い発表だったように思います。 特に、数値計算コードの説明では、概念についてあまり数式を用いず説明されていたので 話に入りやすかった。(齋藤研M1:上村)
磁気島の時間発展の様子がx-lineの強度の条件に従って見事に描かれていたので大変興味深かったです。 スライドごとによくまとめられていたので、参考にしたいと思いました。 磁気島は磁気圏尾部で磁力線が何度かつなぎ変わることによって発生するということで、 そこメカニズムをもう少し説明してほしかったです。 観測結果、今まで行われてきたシミュレーションとの相違をもう少し鮮明に話してほしいと思いました。 (齋藤研M1:白井)
12/8(水) 14:00- 5F会議室
渡邊 健太(東大平原研:M2) :
内部磁気圏探査に向けた高エネルギーイオン観測器の設計(修論中間発表)
[発表資料(ppt)]
小川 源太郎(東大吉川研:M2) :
真空紫外光を用いた惑星周辺プラズマの観測に関する研究(修論中間発表)
[発表資料(pptx)]
12/8(水) 14:00- 5F会議室 渡邊 健太(M2)
内部磁気圏探査に向けた高エネルギーイオン観測器の設計
概要:
地球内部磁気圏とは6桁以上に及ぶエネルギー幅のプラズマ粒子が同じ領域に共 存している領域である。これまで内部磁気圏研究にとって大きな障害となってい たのは、内部磁気圏の磁場構造がよく分かっていないことであった。この背景磁 場に大きな影響を与えているのがリングカレントと呼ばれる地球を準環状に流れ る大規模電流である。リングカレントを担っているのは100eV〜数MeVのプラズマ であるが、このような広いエネルギー範囲のプラズマ粒子と電磁場を赤道面で計 測した衛星はかつて無い。 これまでの高エネルギーイオン観測器は視野が狭いことや、高エネルギー電子に よるノイズの影響から正確な計測が困難であった。そこで、本研究では将来の磁 気圏探査計画を見据え、半導体検出器(SSD) とTOF 型質量分析器を組み合わせた 高エネルギーイオン観測器の開発を進めている。SSD から粒子のエネルギーE を、TOF型質量分析器から速度v を測定し、それらから質量mを算出する。これ らを考慮に入れることで、100keV〜1MeV のエネルギー範囲で電子とイオンまた イオン種の弁別を図る。ここで、質量分析部は非軸対象の電場構造による粒子軌 道計算から設計を行った。今回の発表では、観測器の設計状況について報告する。
12/8(水) 14:00- 5F会議室 小川 源太郎 (M2)
真空紫外光を用いた惑星周辺プラズマの観測に関する研究
概要:
1990年代後半から、太陽共鳴散乱光を撮像観測するという新たな手法の発達 により、プラズマ圏中のHe+の可視化が可能になった。撮像観測には、観測対象 の時間的変動と空間的変動を区別することができるというメリットがある。その ため、この可視化されたHe+の2次元像はプラズマ圏の部分構造や太陽風に対する 応答など、我々がプラズマ圏をより深く理解することに貢献してきた。この撮像 観測手法はのぞみ衛星を初めとし、IMAGE衛星やSELENE/UPIによる地球プラズマ 圏の撮像でおなじみである。 He+の太陽共鳴散乱光は30.4nmが最も明るく光ることが知られている。極端紫外 (EUV)領域はHe+共鳴散乱光(30.4nm)のほかにもO+の共鳴散乱光(83.4nm)な ども存在し、惑星大気の撮像観測を行う上で非常に重要な波長領域である。この EUV領域の光を検出する際、検出器にはマイクロチャネルプレート(MCPを用い る。しかし、EUV領域の光に対するMCPの検出効率(量子効率)は10%ほどしかな いため、量子効率を向上するために昔から様々な研究が重ねられてきた。最も一 般的な方法として、MCP表面に光電物質を蒸着する手法が上げられる。私は実験 室でMCPへCsIの蒸着を行い、極端紫外光に対するMCPの量子効率を向上すること に成功した。セミナーでは蒸着手法や蒸着時の問題点、CsI直後からの劣化によ る量子効率減少などについてお話しする。
12/2(水) 14:00- 5F会議室
井口 恭介(M2) :
デルタ-シグマ変調方式ディジタル-アナログ変換器を用いた 高精度磁力計の開発(修論中間発表) [発表資料(pdf)]
白井 康裕(M1) :
ERG衛星搭載予定の低エネルギーイオン分析器(LEP-i)の開発の現状 [発表資料(pptx)]
12/2(水) 14:00- 5F会議室 井口 恭介(M2)
デルタ-シグマ変調方式ディジタル-アナログ変換器を用いた 高精度磁力計の開発
概要:
本研究では、現在進行中のSCOPE計画および科学観測ロケットS310-40号機搭載 に向けたディジタル方式フラックスゲート磁力計(DFG)の開発を行っている。 DFGは高精度で小型・軽量・省電力な磁力計である。そのため、磁気圏や惑星間 空間の磁場観測を目的として科学衛星に搭載される。DFGの信号処理回路に組み 込まれるDACは磁場分解能と線形性を大きく左右する。これまでDFGの原理的な高 磁場分解能化が困難であった理由は、耐放射線性の保証された高分解能DAC(12 ビット以上)が存在しないためである。観測ロケット搭載DFGでは約2 nT/ビット (±65000 nTで16 ビット相当)の磁場分解能を目指している。そこで、本研究で はΔΣ変調方式と呼ばれるDACを採用し、宇宙機で使用可能な部品のみを用いて16 ビットのDACを開発する。 ΔΣDACの設計では使用するデバイスの能力を考慮して ノイズを2 nT以下に抑えるパラメータを選択し、そのパラメータで試作を行っ た。試作したDACのノイズ評価を行った結果、設計に比べてノイズが大きいこと が分かった。発表では高精度DFG開発の概要とそのための高分解能DAC開発の進捗 結果を発表する。
<修士論文中間発表を聞いて>
磁場計測でロケットの姿勢を知るという発想が面白いと思いました。私も以前工学部にいましたが、 DACのフィードバックに変調をかけ高精度・高分解能を目指すという考えは目新しく、 勉強になりました。回路系やソフトウェアの詳細が興味深いです。 PICは読出回路をコンパクトにしているという点で、 私自身が現在勉強しているASICと共通する部分がありそうだと思いました。(高島研M1:西村)
磁力計の測定原理について1から説明していたので、この分野の初心者(修論発表で はおそらく大部分の人がそうだと思いますが)の人が聞いてもわかりやすいと思いまし た。図の使い方が上手でした。例えば7枚目のスライドのように、時間分解能という概念 を伝える場合でも、図にして表示してもらえると大変わかりやすく助かりました。 DACの説明の部分が少し難解でした。丁寧に説明されていましたが、スラ イド1枚ではなく、大事な内容だと思うので、スライド2〜3枚使っても良い のではないかと思いました。 自分の研究や発表に際して、ためになったことで述べたような事項につ いて参考にさせて頂こうと思いました。(齋藤研M1:富永)
12/2(水) 14:00- 5F会議室 白井 康裕 (M1)
ERG衛星搭載予定の低エネルギーイオン分析器(LEP-i)の開発の現状
概要:
LEP-iは静電分析部と質量分析部の2段構造になっており、静電分析部でE/qを測定し、質量 分析部で飛行時間を測定することで速度が分かるので両者からM/qがわかる仕組みになってい る。現段階は既にモデルは設計済みであり、まずは質量分析部を製作して性能試験 を行う予定である。今回はLEP-iの観測意義、現在の立ち位置、実験に備えて行っ たsimulationについて話す。
11/25(水) 14:00- 5F会議室
吉岡 和夫 (D3) :
極端紫外分光による木星内部磁気圏の観測的研究 [発表資料(pptx)]
11/25(水) 14:00- 5F会議室 吉岡 和夫
極端紫外分光による木星内部磁気圏の観測的研究
概要:
本研究は木星のイオトーラスを対象とし、極端紫外分光を観測手法とするもので ある。発表の前半は既存の観測データの解析、後半は今後の観測に向けた機器開 発に関して述べる。以下にその要旨を記す。木星の強磁場に支配された“内部磁 気圏”に位置する衛星“イオ”は、火山活動を通して大気中に硫黄酸化物を放出し ている。これらの中性粒子は周囲のプラズマとの相互作用を経て電離し、イオの 公転軌道に沿ったトーラス構造を形成する(イオトーラス)。イオトーラスが発 する輝線は大部分が極端紫外領域(波長50~150nm)に集中しており、木星磁気圏 における様々な物理情報を含んだ興味深い観測対象である。例えば、極端紫外光 強度は電子温度及びイオンの密度を反映する。また同一種類のイオンが放つ複数 の輝線強度比から、背景電子の密度を導出することも可能である。私はこれらの 物理情報に加えて、木星周回ガリレオ探査機が“その場観測”で検出した1keV程度 の高温電子の検出を試みた。本研究ではCASSINI探査機が木星をフライバイした 際に約0.5 AUの距離から取得したイオトーラスの極端紫外スペクトルを用いて、 背景電子温度、電子密度、イオン組成及び高温電子存在量をパラメタとして最適 化し、有意な量の高温電子の存在を確認した。これまでイオトーラスの極端紫外 スペクトルを長期間にわたり取得した例はない。またCASSINI探査機は観測装置 の性能上の制約から10時間程度の時間分解能が限界であった。そこで私は、より 断続的かつ高時間分解能でイオトーラスを観測するために、地球周回衛星に極端 紫外分光器を搭載することを考えた。本研究の後半は、その高効率化に向けた開 発に関するものである。具体的には、CASSINI探査機よりも木星までの距離が遠 い(約10倍)という弱点を補い、さらに1時間程度の時間分解能で高温電子の定 量が可能になるような効率を目指した。本発表では、観測機の概要と高効率化に 向けた開発要素の一部を紹介し、試作品を用いた試験結果を紹介する。さらにこ れらの結果を元に実際の観測を模擬し、物理情報導出の可能性について議論する。
11/18(水) 14:00- 5F会議室
神山 徹 (D2) :
金星雲頂高度で見られる大気波動について [発表資料(ppt)]
11/18(水) 14:00- 5F会議室 神山 徹
金星雲頂高度で見られる大気波動について
概要:
金星では様々な時間・空間スケールの波動の伝播が大気中の角運動量を輸送し、 上層大気に蓄積することでスーパーローテーションに代表される大気循環を生 成・維持していると考えられている。シミュレーションなどの研究により重要な 寄与をするものとして、雲層で太陽光加熱により励起される熱潮汐波、下層で励 起され雲層上層まで伝播する赤道ケルビン波が有力視されている。本研究では、 金星周回衛星、VenusExpress搭載のVenus Monitoring Cameraが紫外波長にて取 得した金星昼面画像を用いて風速場を求め、これらの波動を風速場から同定する ことを目的とした。まずローカルタイムに固定した座標系で日々の風速場を平均 したところ熱潮汐波に由来する特徴をもつ平均風速場が得られたが、風速分布が 昼面に限られ夜面半球のデータが得られていないために、熱潮汐波が風速分布に もたらす寄与を定量的に評価するまでには至らなかった。一方、2007年1月25日 から2月12日までの20日間における、ローカルタイム13.5時〜15.5時範囲での風 速の時間変化を解析したところ、赤道ケルビン波に由来すると考えられる3.6日 周期の変動と、ロスビー波と考えられる5.5日周期の強い変動が見られた。本発 表ではこれら解析結果を紹介すると共に、大気波動が大気循環に与える影響を考 察する。
11/11(水) 14:00- 5F会議室
中村 琢磨(PhD) :
無衝突プラズマにおけるイオン粒子スケール速度勾配層の構造 [発表資料(ppt)]
井筒 智彦 (D1) :
低温高密度プラズマの地球方向輸送の多点同時観測
〜磁気圏対流 vs. 波による拡散〜 [発表資料(pptx)]
11/11(水) 14:00- 5F会議室 中村 琢磨(PhD)
無衝突プラズマにおけるイオン粒子スケール速度勾配層の構造
概要:
地球磁気圏脇腹領域では反太陽方向に流れる太陽風プラズマとほぼ静止している 地球磁気圏プラズマとの速度勾配によりケルビン・ヘルムホルツ(KH)不安定が励 起され渦として成長することが知られている。このKH渦は主に、地球磁気圏前面 における磁気リコクション発生が難しいとされるIMF(惑星空間磁場)北向き時 に観測されており、磁気リコネクションに並ぶ地球磁気圏への主要な太陽風流入 過程として注目されている。観測される渦のサイズから見積もられる速度勾配層 の厚さや実際に観測される速度勾配層の厚さは、イオン粒子効果の無視できる MHDスケールの厚さであることから、イオンスケール速度勾配層から発生するKH 不安定についての研究は少ない。しかし最近、NASAのMessenger衛星の水星flyby 時の観測により水星磁気圏において1000kmオーダーの波長のKH波と思われる磁場 変動が観測された。この観測結果から推測される速度勾配層の厚さは100kmオー ダーでありイオン粒子スケールの範囲内である。つまり、地球だけでなく様々な 惑星磁気圏におけるKH渦の役割を包括的に理解するためには、イオン粒子スケー ルの速度勾配層から発生するKH不安定についての理解も深める必要がある。そこ で我々は、イオン粒子スケールを含む様々なスケールの速度勾配層に対する粒子 シミュレーションを行い、様々なスケールのKH不安定について包括的に理解する ことを試みた。セミナーでは、本研究によって得られた速度勾配層についての粒 子性も含めた基礎的な理解について紹介し、シミュレーション結果から推測され る惑星磁気圏におけるKH渦の役割を議論する。
11/11(水) 14:00- 5F会議室 井筒 智彦
低温高密度プラズマの地球方向輸送の多点同時観測
〜磁気圏対流 vs. 波による拡散〜
概要:
地球磁気圏内のプラズマ輸送を理解することは、磁気嵐などのダイナミックな現 象だけでなく、無衝突プラズマの素過程の解明においても重要である。本セミナ では、磁気圏境界面付近の低温高密度プラズマの地球方向への輸送に関して、 THEMISによる多点同時観測のイベントスタディを紹介する。まず、粒子データか ら、磁気圏対流のみでは低温高密度プラズマの地球方向への輸送は説明できない ことを示す。続いて、電磁場のデータから、低周波の波がkinetic Alfven wave であるとすると、波動粒子相互作用による拡散が観測された輸送に寄与しうるこ とを示す。最後に、磁気圏対流と波による拡散の両方の効果を考慮するとよりよ く観測を説明できるであろう、という展望を紹介する。
10/28(水) 14:00- 5F会議室
田中 孝明 (D) :
月希薄電離大気の構造とダイナミクスに関する研究
Structure and Dynamics of the Lunar Ionized Exosphere [発表資料(ppt)]
10/28(水) 14:00- 5F会議室 田中 孝明
月希薄電離大気の構造とダイナミクスに関する研究
Structure and Dynamics of the Lunar Ionized Exosphere
概要:
固体表面に底を持つ外気圏(Surface-bounded exosphere:SBE)とは、月、水 星、小惑星など、元来、固有の大気を保持する事の無いと思われてきた、固体表 面が宇宙空間に常に曝されている天体に特有の希薄大気である。 SBEは、1980年代に地上からの光学観測によって発見され、月や水星において、 その成因や構造に関する様々な議論が為されてきたが、未だに未解明の部分を数 多く残している。SBEの損失過程の主たるものは、太陽光による光電離であり、 電離されたイオンは、電磁場等で輸送される。月の大気由来のイオンや月面から 放出されるイオンの観測は、SBEの構造や成因を議論する上で、重要な観測であ ると考えられるが、これまでの衛星搭載用のプラズマ観測機では、ほとんど観測 が為されてこなかった。かぐや衛星搭載のMAP-PACE-IMAは、こうした月由来のイ オンの観測を継続的に行い、1年半余りの観測期間において、多くのデータを蓄 積してきた。本発表では、始めに、IMAデータの特性や取得データの解析手法を 解説し、その後実際の解析から分かってきた、希薄大気の朝夕非対称や、太陽天 頂角依存などを紹介し、SBEの成因及び、構造を議論する上での新しい視点を提 供する。
10/21(水) 14:00- 5F会議室
久保田 康文 (D) :
火星周辺の大気イオン流出と大規模磁場構造の形成 [発表資料]
10/21(水) 14:00- 5F会議室 久保田 康文
火星周辺の大気イオン流出と大規模磁場構造の形成
概要:
火星は全球的な固有磁場はほとんどなく、太陽風は電離層と直接相互作用してい る。火星探査衛星MarsExpressのイオン観測では、火星の尾部でO+、O2+、CO2+ などの重イオンの流出を観測している。 O+は火星から太陽風領域まで広がって いるOコロナのピックアップとして説明できるが、O2+、CO2+は主に電離層の下 層で生成されるため、電離層内部から流出する必要がある。しかしその流出過程 は明らかにされていない。セミナーでは詳細な電離層を考慮した3次元MHDシミュ レーションを用いて、火星の電離層からテールの構造とO+,O2+,CO2+の流出過程 、流出量が太陽風磁場、太陽風全圧力によってどのように変化するか議論する。
10/14(水) 14:00- 5F会議室
三津山 和朗 (D3) :
地上望遠鏡を用いた中間赤外線観測による金星雲頂温度構造の解析 [発表資料(ppt)]
10/14(水) 14:00- 5F会議室 三津山 和朗
地上望遠鏡を用いた中間赤外線観測による金星雲頂温度構造の解析
概要:
金星の雲は、高度45-70kmの領域に惑星全球を隈なく覆って存在している。金星 大気現象を理解する上でこの雲層は重要な領域である。金星を中間赤外線で観測 すると、雲頂付近の温度構造を導出できる。2005年にすばる望遠鏡を用いて行っ た金星雲頂の撮像観測によって、温度振幅〜1K、水平スケール 300-600kmの雲頂 温度の微細な空間構造が存在することがわかった。しかしこの観測では、この微 細構造の時間変動や生成メカニズムについての議論はできていない。 これを踏まえ、2007年7月および10月に中間赤外線による金星の長時間観測を行 い、この微細構造の時間変動の導出を試みた。微小振幅のピクセル固定ノイズの 除去や、ピクセル感度補正のエラーに対して効果的な”差分解析”を行ったとこ ろ、微細構造の空間構造と時間変動に相関があることがわかった。このことから 時間変動は他の場所の温度構造が伝播してきたものであると考え、その伝播速度 を見積もったところ約40m/sとなったが、この値は超回転の速度 (~100m/s)や、 子午面循環(~10m/s)とも異なる値となっている。 また、2007年10月の観測では、撮像の間に分光観測も行った。得られた分光スペ クトルを用いて放射モデル計算を行うことで微細構造を生成する背景の大気構造 が導出できる。現在はまたよい結果は出ていないが、モデル計算の手法や解析の 現状について議論する。
10/7(水) 14:00- 5F会議室
大島 亮 (D3) :
火星大気波動の分散関係の解析結果 [発表資料(ppt)]
北野谷 有吾 (D1) :
極冠域電離圏の局所的なプラズマ密度増加現象について [発表資料(pdf)]
10/7(水) 14:00- 5F会議室 大島 亮
火星大気波動の分散関係の解析結果
概要:
私は Mars Global Surveyor の Thermal Emission Spectrometer による大気温度データを用いて、火星大気中の波動の分散関係に ついて調べている。これまでの解析の結果、いくつかの興味深い分 散関係を持つ波が発見された。  まず、北半球が秋の頃に全球規模で東進する波が見つかった。こ の波は西風が強い南北中緯度だけでなく、西風が弱いと考えられる 赤道域でも中緯度とほぼ同じ速度で東進していた。ランダムノイズ が背景風に乗るだけでは赤道域の東進を説明できないので、この時 期には全球規模の東進する波が確かに存在したと考えられる。  次に、南緯36〜68度の冬季で、大きな振幅を持つのが東西波数1 のみ、または1と2のみとなることが多いことがわかった。多くの 緯度帯や時期では様々な東西波数の波が同時にある程度の振幅を持 つことがほとんどである。この緯度帯、時期で東西波数1または1 と2の波が卓越する傾向は MarsYear 25,26 に強く現れる一方で、 MarsYear 24 にはあまり現れなかった。  また、MarsYear 25, Ls 300-330 や MarsYear 26, Ls 210-240 の時期に於いて、広い緯度帯に亘って西進する波が発見された。ど ちらの時期も南北中緯度では西風の強い時期であり、この波は背景 風に対して逆行していることになる。  これら個々の事象に対し、まだメカニズム等を詳しく調べるには 至っていない。今回の発表では事象の紹介を中心にしたいと思う。
10/7(水) 14:00- 5F会議室 北野谷 有吾
極冠域電離圏の局所的なプラズマ密度増加現象について
概要:
一般的にプラズマ密度は高度とともに減少する。磁力線が開いている 極冠域では、閉じている領域よりも、その減少の効果が大きく、高度 3000km以上では、電子密度1000/cm3以下の希薄な領域である。このよ うな領域では、電子密度が小さいため、あけぼの衛星に搭載されてい る熱的電子エネルギー分布測定器 (Thermal Electron Energy Distribution:TED)で正確な電子密度・ 温度を推定することはできない。しかし、TEDの長期の観測から、 ごくまれにこの領域に局所的なプラズマ密度増加が観測されている ことがわかった。この現象について、統計解析から得られた特徴と、 多観測から得られた結果からこのメカニズムについて考察した結果を示す。
9/24(木) 15:00- 5F会議室
齊藤 実穂 (研究員) :
多点観測を利用した尾部構造の推定とその時間変化
9/24(木) 15:00- 5F会議室 齊藤 実穂
多点観測を利用した尾部構造の推定とその時間変化
概要:
オーロラの形成やサブストームの物理機構の議論には、磁気圏尾部の空間構造の 観測が欠かせない。特に、磁気赤道面内の空間構造を求めることが重要だけれど も、薄くなったプラズマシート中で直接これを求めることは容易ではない。従来 のアプローチには、統計に基づく観測モデルと圧力平衡を仮定した理論モデルが ある。しかし、両モデルは異なる傾向を示すことが ”Pressure balance Inconsistency”としてしられている。また、実際には、時間変化をしている実際 の現象に適用することができないという問題がある。そこで、多点観測を利用し た新しいアプローチを考えた。この解析では、薄いプラズマシート中ということ を逆手にとることで、磁気赤道面の磁場構造を推定する。
9/16(水) 14:00- 5F会議室
長谷川 洋 (助教) :
真夏の磁気圏境界層 [発表資料(ppt)]
笠原 慧 (PhD) :
ERG/MEP-eのための大面積APD開発 [発表資料(pdf)]
9/16(水) 14:00- 5F会議室 長谷川 洋
真夏の磁気圏境界層
概要:
地球の磁軸は公転面の法線に対して角度をもっているため、磁気圏の現象はその 角度に依存しうる(季節依存性が起こりうる)。本発表では、惑星間空間磁場が 北向きであった2008年7月11日にTHEMIS衛星が磁気圏前面の境界層を多点観測し た事例に基づいて、磁軸が傾いている(磁軸と太陽風速度ベクトルがなす角 〜60°)時の磁気圏界面リコネクションの性質と磁気圏境界層の形成過程につい て考察する。
9/16(水) 14:00- 5F会議室 笠原 慧
ERG/MEP-eのための大面積APD開発
概要:
アブストラクト:我々のグループではAPDによる中間エネルギー電子 (10-100keV程度)の検出を目指し,基礎開発を行ってきた. この段階では,数-100keVという十分なエネルギー範囲での 電子エネルギー検出性能が達成されているのだが, ERG衛星搭載MEP-eへの応用という観点から言うと, これまで用いてきたAPDの<10mm2という検出面積は小さすぎる. この解決策としては,(1)小面積APDを並べる(ピクセルAPD),(2)大面積APDを用 意する, ということが考えられる.ここで前者のように素子数を増やす戦略は 観測器の構成や較正を複雑化させるため,今回は後者の方法を検討している. セミナーでは,室内実験から明らかになった大面積APD(~1cm2)の 可能性と限界について話す.
8/26(水) 14:00- 5F会議室
亀田 真吾 (PhD):
水星ナトリウム大気光分光カメラMSASI [発表資料(pdf)]
9/2(水) 14:00- 5F会議室 亀田 真吾
水星ナトリウム大気光分光カメラMSASI
概要:
2014年打上、2020年に観測開始予定のBepiColombo 水星磁気圏探査機に搭載するナトリウム大気光分光カメラ MSASIの観測目的・開発状況を紹介する。 MSASIは高分散分光を行なうために、回折格子型分光器ではなく ファブリペロー干渉計を搭載し、小型・軽量化を計りながら 波長分解能800000程度を達成する。 また、MSASIの開発で得られた、高精度平面鏡研磨技術の 紹介を行なう。
8/26(水) 14:00- 5F会議室
西野 真木 (PhD):
月ウェイク領域への太陽風プロトンの侵入 [発表資料(ppt)]
8/26(水) 14:00- 5F会議室 西野 真木
月ウェイク領域への太陽風プロトンの侵入
概要:
月周回衛星「かぐや」による月周辺での太陽風プロトンの観測結果を報告する。 月は多くの時間を太陽風中で過ごすが、その際に月の夜側に密度の低い領域 (ウェイク)が形成される。太陽風電子の高エネルギー成分はこのウェイクに容易 に侵入するのに対して、太陽風プロトンは太陽風速度と比較して熱速度が遅いた めウェイクに侵入することが難しいと考えられてきた。ところが、「かぐや」搭 載のプラズマ観測機PACEによる観測データによって、太陽風イオンが月のごく近 くのウェイクに侵入することが明らかになった。このイオン侵入は磁力線垂直方 向の運動によるもので、2種類の侵入メカニズムがあることが分かった。今回の セミナーでは、過去の観測やモデルと最新のデータとを比較し、月プラズマ環境 の新たなモデルを示す。
7/29(水) 14:00- 5F会議室
井口 恭介 (M2):
ディジタル方式フラックスゲート磁力計の高分解能化 [発表資料(pdf)]
安藤 紘基 (M2) :
かぐや電波科学による月の電離層の観測 [発表資料(pptx)]
7/29(水) 14:00- 5F会議室 井口 恭介
ディジタル方式フラックスゲート磁力計の高分解能化
概要:
1990年代以降、科学観測衛星やロケットには、小型、軽量、省電力なディジタ ル方式フラックスゲート磁力計(DFG)が搭載され始めた。しかし、DFGの高磁場 分解能化と線形性には未だ課題が残っている。  磁場の分解能はディジタルアナログ変換機(DAC)の分解能で大きく左右され る。現在、宇宙機用として承認されたDACは12ビットまでしかないためディジタ ル方式は原理的な高磁場分解能に至っていない。そこで、本研究ではΔΣ変調方 式 を採用した高分解能(16ビット)DACを開発し、S310-40号機およびSCOPE搭載に 向けたDFGを開発する。発表ではコンピュータ上で設計したDACの性能結果と開発 中のDACの現状について示す。 DFG…Digital fluxgate magnetometer DAC…Digital to Analog Converter
7/29(水) 14:00- 5F会議室 安藤 紘基
かぐや電波科学による月の電離層の観測
概要:
1970年代のロシアLunaミッションでの電波掩蔽観測などにより、月面から高度数十km までの領域に最大で1000/cc もの密度の電子が存在する事が示唆された。一方、太陽風の誘導電場によりプラズマがはぎ取られる事や月の大気の稀薄さを考慮すると、月周辺の電子密度は1 cm-3程度と理論的に見積もられている。また月の電離層の存在を否定する観測結果もあるため、月の電離層の存在はあまり受けいれられていない。「かぐや」電波科学掩蔽観測は2機の子衛星VstarとRstar を利用し、この問題に決着をつける事を目的としている。 観測の手法としてはVstarのみを用いる方法とVstar・Rstarを同時に用いる方法の2通りを試みた。前者では地球電離層や宇宙空間の電子密度の影響を避ける事ができず微小な月の電離層を抽出する事が難しいという欠点があるが、400回以上の観測の統計的解析により、太陽天頂角(以下SZA)が60度以下の昼側の領域で月面から高度30 kmにわたり電子密度の増分があるという傾向が見られた一方後者の方法は、Vstarの掩蔽中にRstarが地球電離層をモニターするという世界での前例のない試みである。このときRstarの電波はVstarのそれに近い所を通るため、VstarとRstarそれぞれで計測した電子密度を互いに差し引く事で地球電離層や宇宙空間の電子密度を排除する事が可能であり、微小な月の電離層成分のみを取り出す事ができる。しかしRstarの装備の都合上、利用できる2周波が2218 MHz と2287 MHzと近いために電子密度の計測誤差が大きくなる。また地上局のアンテナのビーム径に2つの子衛星が同時に入っていなければならず、観測回数が20回程度に限られる。 2機を同時に用いた観測はSZA=70-110°をカバーするが、この範囲では平均的には電子密度の増加は見られない。ただし全25回の観測のうちSZA = 74.4°、SZA =82.2°の2ケースで0.02 - 0.05 TECU程度の電子密度の増分が見られた。このことから日照側では何らかの条件下で月の電離層が生成されることもあると考えられる。この生成メカニズムとして太陽風磁場による電子輸送やダストの光電子放出について考察を進めている。
7/8(水) 14:00- 5F会議室
田中 孝明 :
かぐや搭載用プラズマ観測器による月由来イオンの観測及び希薄大気の構造の 考察 [発表資料(ppt)]
吉岡 和夫 (D3) :
極端紫外分光による木星内部磁気圏の観測 [発表資料(ppt)]
7/8(水) 14:00- 5F会議室 田中 孝明
かぐや搭載用プラズマ観測器による月由来イオンの観測及び希薄大気の構造の 考察
概要:
古来、月には大気が存在しないと考えられていたが、1980年代に地上からの 光学観測によって、Naの希薄大気が発見され、それ以来、月アルカリ希薄 大気の構造や、成因などについて多くの議論が為されてきた。希薄大気は、 太陽光によって電離され、電離されたイオンは、太陽風によって輸送される。 こうした月大気由来のイオンや月面から放出されるイオンの観測は、希薄大気 の構造や成因を議論する上で、重要な観測であると考えられるが、これまでの 衛星搭載用のプラズマ観測機では、ほとんど観測が為されてこなかった。  かぐや衛星搭載のMAP-PACE-IMAは、こうした月由来のイオンの観測を継続的に 行い、1年半余りの観測期間において、多くのデータを蓄積してきた。本研究 では、こうした観測データの解析から分かってきた、希薄大気の朝夕非対称や、 太陽天頂角依存などを紹介し、希薄大気の成因及び、構造を議論する上での 新しい視点を提供する。
7/8(水) 14:00- 5F会議室 吉岡 和夫
極端紫外分光による木星内部磁気圏の観測
概要:
惑星大気やプラズマは太陽光共鳴や電子衝突により励起され、様々な波長の輝 線を発する。それらの輝線の多くは波長30-150 nmの極端紫外(EUV)領域にあ る。EUVによる惑星観測は1977年にマリナー10号探査機により初めて行われた。 この探査機はEUV分光により水星と金星の大気に含まれるヘリウムや酸素、アル ゴンを定量した[Broadfoot et al. 1977]。その後しばらくEUVは遠隔観測による 大気、プラズマの定量の手段として用いられてきた。90年代になるとEUV撮像の 技術が確立され、1998年にはのぞみ探査機に搭載されたプラズマ撮像機により地 球周辺のヘリウムイオンの撮像に成功した[Nakamura et al. 2000]。これはプラ ズマを可視化するという画期的な手法であった。このようにEUVは大気やプラズ マの定量、可視化に有効な手段として用いられてきた。  私はEUVの新たな応用として、衝突励起でイオンが発する輝線を用いた電子の 速度分布関数の導出に着目している。イオンが発する輝線の強度は周囲の電子温 度、密度に強く依存する。また同じイオンが発する輝線でも波長によりその依存 性が異なる。この性質を利用して輝線の強度比から電子の温度と密度を求めると いうものである。  2012年に新個体ロケットで打ち上げられる地球周回衛星SPRINT-A/EXCEEDは極 端紫外望遠鏡を搭載する。私はこの衛星を用いて木星内部磁気圏のイオプラズマ トーラス(IPT)に存在する高温電子の生成、輸送過程を解明できると考えてい る。IPTでは5.9 RJを周回する衛星イオから放出された硫黄や酸素がイオン化 し、周囲の電子との衝突励起を経て輝線を発している。ガリレオ探査機の粒子観 測により、IPTには約5 eV の背景電子に加えて約500 eV の高温電子が存在する ことがわかっている[Frank and Paterson 2000]。しかしIPTの電子温度に関する 観測情報はガリレオ衛星によるその場観測の情報しかなく、これら高温電子の由 来はわかっていない。  今回の発表では、EXCEEDの各コンポーネントの開発状況と取得データの解析手 法について紹介する。
6/30(火) 16:00- 5F会議室
小林 光吉 (M2) :
HEPe開発の現状及びVA32TA動作確認試験の結果について [発表資料(ppt)]
下村 直子 (M2) :
2次元MHDシミュレーションを用いたKH渦の合体大発展 [発表資料(pptx)]
6/30(火) 16:00- 5F会議室 小林 光吉 (M2)
HEPe開発の現状及びVA32TA動作確認試験の結果について
概要:
地球近傍のジオスペースと呼ばれる領域には、幅広いエネルギーの持った 粒子が存在している。この中でも特に高エネルギーの電子に関しては、人 工衛星の故障の原因になるなど人類の宇宙活動に大きな影響を与えるが、 その加速過程は未だ解明されてはいない。ERG衛星ではこの粒子加速が どこで行われているかを明らかにし、このメカニズムを確定する事を一つ の大きな目的としている。ERG衛星に搭載される観測器のうち、加速の 「種」となる数百keVの電子を観測するのが、現在設計開発中のHEPeである。 本発表ではHEPe設計の現状について述べる。特に、春の学会で発表した貫 通粒子の影響について、よりシミュレーションの統計精度を増やした結果 を議論する。また、データ取得の際に用いる事を想定しているVA32TAとい うASICについても、今後のための基本的な動作確認試験を行った。この結 果について報告する。
6/30(火) 16:00- 5F会議室 下村 直子 (M2)
2次元MHDシミュレーションを用いたKH渦の合体大発展
概要:
地球磁気圏境界では太陽風と地球磁気圏との間に速度勾配・密度勾配が 存在するため速度シアの流体不安定であるKH不安定が励起すると考え られている。しかし観測でみられるKH渦は線形理論で考えられている 大きさよりもはるかに大きい。 この問題を解決する一つのアプローチとして渦の合体発展が考えられる。 本研究では2次元MHDシミュレーションを用いて複数個の渦が合体発 展する様子を調べている。今回は、最大成長波長の8倍のサイズの計算 領域での渦の合体発展の様子を報告する。
6/23(火) 14:00- 5F会議室
足立 潤 (M2) :
2流体シミュレーションを用いた磁気島の時間発展に関する研究 [発表資料(ppt)]
6/23(火) 14:00- 5F会議室 足立 潤 (M2)
2流体シミュレーションを用いた磁気島の時間発展に関する研究
概要:
地球磁気圏尾部電流層などの反平行磁場では、磁力線方向に離れた複数点で磁気 リコネクションが起こることにより、磁気島が形成されると考えられている。 本研究では、磁気島が形成された後の時間発展が、両端のX-lineの力関係によっ てどのように変わるかを2流体数値シミュレーションを用いて調べた。 その結果、両端のX-lineに強度差がない場合は、磁気島は移動せずに膨張成長す るが、両端のX-lineに強度差がある場合は、磁気島は膨張成長するものの、磁気 島は弱い方のX-lineの方向に加速されることが分かった。また、それに伴い、弱 い方のX-lineは活動を弱め、最終的に活動を停止し、それによって磁気島の成長 も止まった。 本発表では、初期のX-lineの強度差や磁気島の大きさを様々に変化させたもとで の、磁気島膨張と弱い方のX-lineが活動を停止する過程について調べた結果を報 告する。
6/17(水) 14:00- 5F会議室
三津山 和朗 (D3) :
地上望遠鏡を用いた中間赤外線観測による金星雲頂温度構造の解析 [発表資料(ppt)]
麻生 直希 (M2) :
地球起源散逸酸素イオンと太陽風との関連性 [発表資料(ppt)]
6/17(水) 14:00- 5F会議室 三津山 和朗 (D3)
地上望遠鏡を用いた中間赤外線観測による金星雲頂温度構造の解析
概要:
金星大気には高度45-70kmに分厚い雲が存在しており、紫外線による観測から雲 頂の様々なスケールの模様が発見されているが、その生成物理はわかっていない 。 例えば、雲頂模様の1つに直径600km程度の斑状構造があり対流の存在に示唆的 であるが、雲頂での大気安定度と矛盾している。本研究では金星の中間赤外線分 光撮像観測を行い、雲頂高度での大気温度構造の空間的時間的変動を導出し、メ ソスケールの大気物理を理解することを目的としている。撮像画像に見られる雲 頂模様と、分光データを再現する放射伝達計算により決定された大気モデルを比 較することで、雲頂構造の物理機構を理解する。本発表では、微小振幅の雲頂模 様の導出、時間変動と空間変動関連、放射伝達モデル計算の現状について報告す る。
6/17(水) 14:00- 5F会議室 麻生 直希 (M2)
地球起源散逸酸素イオンと太陽風との関連性
概要:
地球の電離圏で生成されるプラズマは、極域から磁気圏へ散逸している事が Dynamic ExplorersやAkebonoといった極軌道衛星により実証された。 しかし、散逸メカニズムがいつどこで起きているのかという問題は いまだ明らかにされていない。この解決に、時間的、空間的変化を 観測可能なプラズマ撮像観測が期待されている。 本発表では、かぐや搭載プラズマイメージャーUPI-TEXによって撮像された 地球周辺酸素イオン画像を用いて、散逸酸素イオンと太陽風の関係性について報 告し、 現在課題となっているLy-βの除去についても議論する。
6/10(水) 14:00- 5F会議室
山本 忠輝 :
かぐや搭載電子観測器MAP-PACE-ESAによる月の磁気異常測定 [発表資料(ppt)]
大島 亮 (D3) :
火星大気中の波動の波数空間内での分布 [発表資料(ppt)]
6/10(水) 14:00- 5F会議室 山本 忠輝
かぐや搭載電子観測器MAP-PACE-ESAによる月の磁気異常測定
概要:
月には地球のようなグローバルなダイポール磁場は存在しないことが知られて いる。しかし、アポロ計画時の観測により月に表面磁場が存在することが明らか になった。その後、Lunar Prospectorによる観測もあり、月の磁気異常の傾向は ある程度分かってきたが、磁場の起源や磁化している場所などは未だ未確定であ る。今回、かぐや搭載の電子観測器MAP-PACE-ESAを用いて電子反射法により 月全球の磁気異常を測定した。その手法、結果について報告する。
6/10(水) 14:00- 5F会議室 大島 亮 (D3)
火星大気中の波動の波数空間内での分布
概要:
火星の大気は寒冷、乾燥、低圧といった地球と異なる特徴を持つ にも関わらず、数日周期の気温変動など地球に似た大規模現象が起 こっている。地球の場合、この変動のパターンに大きく寄与してい るのはロスビー波などの様々な波動であり、火星でも似たような機 構が働いていると考えられているが、季節や場所によりどのような 波動が卓越するのか、まだ完全にはわかっていない。  これを明らかにするため、私は Mars Global Surveyor が取得し た温度データから波動を取り出すという解析をしている。今回の発 表では、波数空間内での波動の強度マップを3火星年分について作 成した結果を報告する。
6/3(水) 14:00- 5F会議室
高田 拓 (PhD) :
THEMIS衛星観測による磁場の双極子化周辺のフロー解析 [発表資料(pdf)]
神山 徹 (D2) :
紫外波長撮像観測データに基づく金星風速場の解析 [発表資料(ppt)]
6/3(水) 14:00- 5F会議室 高田 拓 (PhD)
THEMIS衛星観測による磁場の双極子化周辺のフロー解析
概要:
地球磁気圏のサブストーム現象においては、プラズマシート中で発生する爆発現 象が大域的に発達していく。プラズマシート中での2つの現象、(1)尾部で発 生する高速流と、(2)比較的内側(< 10RE)で起こる磁場の双極子化現象、の 相互関係がサブストーム開始機構の鍵を握っているが、完全には理解されていな い。本研究では、THEMIS衛星の多点観測データを用いて、磁場の双極子化領域周 辺での高速流に伴うフローのパターンを調べた。地球向き高速流両脇での渦流と 共に、尾部向きの跳ね返り流が同定された。また、これらのフローパターンの結 果と局所的な磁場の双極子化についても、議論する。
6/3(水) 14:00- 5F会議室 神山 徹 (D2)
紫外波長撮像観測データに基づく金星風速場の解析
概要:
金星では様々な時間・空間スケールの波動の伝播が大気中の角運動量を輸送し、 上層大気に蓄積することでスーパーローテーションに代表される大気循環を生 成・維持していると考えられている。本発表では、探査衛星が金星を紫外波長で 撮像した画像データに基づき金星大気の風速分布を解析した結果、リムのフィッ ティングから見えてきた雲高度の緯度変化、また解析において解決すべき問題点 について報告する。解析には、Galileo探査衛星が1990年2月に金星をフライバイ した際に撮像した雲頂高度の雲画像と、2006年から金星を周回している VenusExpressが取得している雲画像を用いた。風速分布の解析から、雲頂高度で は熱潮汐波がもたらす特徴的な風速分布がGalileo探査機での観測、 VenusExpressでの観測共に見られた。またリムのフィッティングから、雲頂上高 さが赤道で低く、中緯度帯で高いという結果が得られた。これらの結果を報告す ると共に、現在検討段階の画像解析手法について報告する。
5/26(火) 14:00- 5F会議室
井筒 智彦 (D1) :
地球磁気圏夜側でのイオン輸送 [発表資料(ppt)]
北野谷 有吾 (D1) :
極冠域電離圏の低エネルギー電子(光電子)について [発表資料(ppt)]
5/26(火) 14:00- 5F会議室 井筒 智彦 (D1)
地球磁気圏夜側でのイオン輸送
概要:
地球磁気圏内でのプラズマの状態(密度・温度・流れ方など)は、磁気圏にお けるさまざまなダイナミクスを規定するため、それらの空間分布や輸送・加熱過 程を理解することは非常に重要である.本研究では、多点同時観測のデータを用 いて、通常では観測されない低温高密度状態のイオンを追跡することで、地球磁 気圏の夜側のイオンの輸送過程と輸送に伴う加熱過程を調査している.今回のセ ミナでは、修士課程での研究で得られた「太陽風起源イオンの内部磁気圏への輸 送機構」を示し、輸送に伴う加熱過程や磁気嵐との関連性などの将来展望を紹介 する.
5/26(火) 14:00- 5F会議室 北野谷 有吾 (D1)
極冠域電離圏の低エネルギー電子(光電子)について
概要:
一般に極域電離圏における電子密度は高度とともに減少し、例えば太陽活動極 大時において高度3000 kmでの平均的な電子密度は1000/cm3以下の希薄な領域で ある。これに対して、科学衛星「あけぼの」に搭載された熱的電子エネルギー分 布計測器(TED)による長期の観測データを解析した結果、極冠域電離圏の高度 3000km以上の領域において、極まれに電子密度が約2000/cm3を大きくこえるよう な高電子密度のプラズマが観測される場合のあることが明らかになった。また密 度上昇の内と外では、プラズマの環境に大きく違いがあることも明らかになっ た。本発表では、上で述べた「極冠域電離圏の密度上昇現象」を紹介し、また密 度上昇内・外の特徴から、極冠域電離圏の低エネルギー電子(光電子)について 議論した結果を示す。
5/13(水) 14:00- 5F会議室
山崎 敦 (助教) : [発表資料(pdf)]
地球周辺酸素イオンの共鳴散乱光観測
5/13(水) 14:00- 5F会議室 山崎 敦 (助教)
地球周辺酸素イオンの共鳴散乱光観測
概要:
私たちのグループは 地球周辺プラズマ環境を可視光・極端紫外光で観測する 超高層大気・プラズマイメージャ(UPI)を月周回衛星かぐやに搭載し観測を 続けている UPIの極端紫外光望遠鏡(UPI−TEX)は、その視野を二分割し ヘリウムイオンと酸素イオンの太陽共鳴散乱光の二次元像を取得している 本発表では 酸素イオンの共鳴散乱光分布の時間・空間変化について 太陽風変化との関連性について議論する
5/ 1(金) 16:30- 5F会議室
上村 洸太 (M1) : [発表資料(ppt)]
パルサーの自転による重力波の検出可能性
小野寺 暁 (M1) : [発表資料(ppt)]
電子ビームラインの構築とAPDを用いた電子計測試験
富永 祐 (M1) : [発表資料(ppt)]
月レーダーサウンダーを用いた月面海領域の地下構造と電気的特性の推定
西村 夏奈 (M1) : [発表資料(ppt)]
テラヘルツ光検出器試作試験用サンプルホルダーの作製
蜂谷 宣人(M1) : [発表資料(ppt)]
極冠域電離圏におけるプラズマ流出現象のメカニズムについて
5/ 1(金) 16:30- 5F会議室 上村 洸太 (M1)
パルサーの自転による重力波の検出可能性
概要:
アインシュタイン方程式から予言される重力波は宇宙を見る新しい目として期待されている。本論文では3軸不等の楕円体が回転するときに放出される重力波の振幅やエネルギー放出率などを理論的に導出した。その結果をカニ星雲パルサーに対して適用し、観測されているスピンダウンによるエネルギー損失が全て重力波放出によるものであると仮定した場合の重力波振幅の理論的上限とパルサーの非対称性への制限を計算した。その結果、重力波の振幅は10^-25程度以下、パルサーの軸対称からのずれは10^-4以下となることがわかった。
5/ 1(金) 16:30- 5F会議室 小野寺 暁 (M1)
電子ビームラインの構築とAPDを用いた電子計測試験
概要:
地球周辺の磁気圏は、6桁以上もエネルギーの異なるプラズマの共存する領域で、磁気嵐に伴って激しく変動することが知られている。地球磁気圏のダイナミクスを理解するためには広いエネルギー範囲の粒子を網羅的に観測する必要がある。現在、複数の観測器を搭載する衛星計画が進んでおり、これらの観測器を同時期に試験する可能性がある。そこで、我々は立教大学のクリーンルームに現有する電子・イオンビームラインとは別に、もう一つビームラインを構築した。また、中間エネルギー電子 (1-100 keV) の検出にはAPD (avalanche photodiodes) を用いることが計画されている。本発表では、構築した電子ビームラインの原理を示すとともに、APDの試験結果を示す。
5/ 1(金) 16:30- 5F会議室 富永 祐 (M1)
月レーダーサウンダーを用いた月面海領域の地下構造と電気的特性の推定
概要:
かぐや衛星に搭載された月レーダーサウンダー(LRS)の観測データを解析し、月面海領域の地下構造と電気的特性(誘電率・ロスタンジェント)を推定した。本発表では、晴れの海(Mare Serenitatis)領域での解析結果を紹介する。地下構造については、海領域ほぼ全域において、見かけの深さ平均300 m付近に層境界面を検出することができた。推定した地下構造をもとに表面層・地下層の2層構造を表す数値モデルを構築し、各層の領域全体での平均的な電気的特性を計算した。表面層は、ロスタンジェント0.003・誘電率2.7と推定した。地下層については、このモデルからは値を得ることはできなかった。
5/ 1(金) 16:30- 5F会議室 西村 夏奈 (M1)
テラヘルツ光検出器試作試験用サンプルホルダーの作製
概要:
近年、単電子トランジスタ(SET)を利用したTHz領域の単一光子検出器(量子ドットSET検出器)が開発されている。この量子ドットSET検出器は、天文学研究に使用される高感度検出器と比べ1000倍以上の感度を誇る。我々の研究室ではこの検出技術を利用し、THz顕微鏡の開発や生体系ダイナミクスの可視化に挑む。そこで重要となるのが検出器の動作条件であり、光子検出には極低温・強磁場下での低雑音電気輸送測定が要求され、またSETは非常に静電気に弱いデバイスなためその実験環境には十分な静電対策が必要とされる。卒業研究では、上記検出器の試作試験用サンプルホルダー、および検出器の更なる高速化に向け後にサンプルホルダーに組み込む低温アンプの設計・製作を行った。
5/ 1(金) 16:30- 5F会議室 蜂谷 宣人 (M1)
極冠域電離圏におけるプラズマ流出現象のメカニズムについて
概要:
 地球電離圏の高緯度帯から伸びる磁力線は磁気圏尾部に結びついている。同一磁力線内で電離層と磁気圏尾部におけるプラズマの静的圧力を比較すると前者は後者に比べてはるかに高いので、電離層中の熱プラズマは磁力線に沿って流れ出す。このようなプラズマの流れをポーラーウインドとよび、初期の理論によればイオン流の逸散速度はプラズマの熱速度に近い値を持つはずであった。しかしその後、超音速であること、そこから、ポーラーウインドは分極電場によって引き起こされ、軽いH+が支配的であることなどが議論され、1980年代にはDE1衛星によってポーラーウインドが超音速であることが観測的に実証された。
 1989年2月に打ち上げられた衛星EXOS-D(あけぼの)にはthermal (0 - 25 eV) およびsuprathermal (25 eV - 数 keV) のエネルギー領域にあるイオンの分布関数を測定するため、Suprathermal Ion Mass Spectrometer (SMS)が搭載された。SMSが観測する、衛星のスピン平面内でのイオン分布関数からH+, He+等のそれぞれのイオンのドリフト速度、温度、および密度を求めることが出来る。本研究では、ポーラーウインドを作り出す分極電場に対する光電子の寄与について、SMSによるイオン速度の高度プロファイルとプラズマ輸送方程式により得られる熱的電子による分極電場を考慮したイオン速度の高度プロファイルを比較することで、その可能性を議論する。
4/15(水) 16:00- 5F会議室 中村 正人 (教授)
日本に於ける飛翔体を使った宇宙科学
概要: [資料]
宇宙科学とは宇宙理学と宇宙工学が一体となった概念である。宇宙科学研究本部で行われている様々な飛翔体を利用した宇宙科学について、現状を概観する。
4/15(水) 16:00- 5F会議室 藤本 正樹 (教授)
 
概要:
宇宙プラズマ分野の状況を概観し、そこで活躍できる人材とは何かということについて考える。