スタッフ出張報告
写楽の絵が眠る島へ ギリシャ・コルフ島
田中 健太郎
9月27日から10月1日まで、CLUSTER 10TH ANNIVERSARY WORKSHOP (於ギリシャ・Corfu島(Kerkyra島))に参加・発表してきました。European Space Agency (ESA) が中心となって主催するこの会議は、各国の磁気圏科学に携わる観測論的実証科学者が一同に会して、最新の科学的成果および将来像を提示するワークショップです。10TH ANNIVERSARYと銘打っているのは、今年でCLUSTER-II衛星が打ち上がってから10年を迎えるからです。そういうわけで、今回は少し「お祭り」的な色彩を帯びた形となりました。
CLUSTERは4機からなる三角錐形の編隊飛行衛星群で、時間と共に互いの距離を変化させ、電子スケールからMHDスケールまでの空間構造を網羅する観測機です(ESAのCLUSTERウェブサイト)。CLUSTER以外にも最近ではTHEMIS、Double Starが編隊観測を行っていて、今回の会議でもそれらによって得られた観測データの科学が行われました。
会議は6つのセッションからなり、それぞれ
1日目はStorms, Substorms, aurora and magnetotail dynamics
2日目はDynamics of the inner magnetosphere
3・4日目はReconnection
4日目はBoundary layers, discontinuities and the cusp
5日目はShocks, turbulence and upstream phenomenaとGeneral
に分けられ、総勢137名(記憶によると)が参加しました。
それぞれのセッションが、通常の学会での1セッションに対応するので、言うなれば太陽・磁気圏・電離圏物理のすべてを観測的手法を通じて俯瞰できる、とても豪華なコンテンツでした。
3日目の午後は島の中心地に赴き、この島の歴史的背景を学習しました。また4日目の夜は、Conference Dinnerに参加し、Theodore Fritz、Arne Pedersenに挟まれながらGeotail今昔物語を拝聴しました。
さて、僕はこのような中シミュレーション結果(Reconnectionセッション)の報告を行ったわけで、発表前は「浮いてしまうのでは無かろうか?、いや浮いてはいけないように内容を構成してる!」などと一喜一憂していたのですが、いざ話し終えてしまえば2人の挙手。プレゼン後、さらに数人からのコメント。おまけに共同研究のオファー。塞翁が馬、あるいは杞憂とはまさにこのこと。一方で、ごもっともなご批判を頂き、ディベートの良いレッスンになりました。
#Corfu島あるいはKerkyra島の名前の由来#
今回の会議の場所は、初期ギリシャ神話に由来するギリシャの歴史と結びついています。この島の現代的な名前はKerkyraで、この名は水に纏わる2人の偉大な神 - Poseidon神(海の神)とAsopos神(川の神)に関係しています。
神話ではこの様に語られています『Poseidonは美しい妖精Kerkyra (Asoposの娘)に恋しました。AsoposはKerkyraを名も無き島に連れて行きました。結婚の祝福に彼女の名前をその島に捧げました。』
Corfuという名前は、元を辿るとギリシャ語Κορυφαι (山頂という意)から来ています。