スタッフ出張報告
Liege(ベルギー)とUCL(イギリス)訪問
垰 千尋
石畳の道路に所狭しと立ち並ぶ建物のリージェの街を過ぎて川を渡ったところにある、緑に囲まれるリージェ・サイエンス・パーク(Liege Science Park)。ここで10月18日から20日までの3日間にわたり開催された、木星・土星超高層大気に関するワークショップ(Europlanet Workshop)に参加しました。ヨーロッパからの研究者を中心に、30人ほどの小じんまりした、反面、議論は活発な、会議でした。
将来木星探査機のセッションでは、来年度打ち上げ予定の木星極周回軌道の探査機Junoに続き、NASAおよびESAによる2機同時の木星衛星探査計画の話がありました。この2機での観測時期に合わせ、高緯度からの木星超高層・磁気圏を探査する提案は、特に木星・土星超高層および磁気圏に興味ある参加者の反応も大きいものでした。
木星・土星オーロラ観測解析の面白い結果がいろいろ紹介されました。発表したオーロラに関するモデル研究への反応も、思っていたよりも大きかったです。ただ、現在シミュレーションモデルを用いて調べている土星極域の現象をさらに明らかにしていくためには、観測的な制約が不可欠です。
研究会の後にユーロスターで海峡を渡って訪問したロンドン大学(University College London)の研究グループと、現在継続中の土星探査機データとの連携研究の相談できたことは、今回の出張の大きな収穫のひとつです。
ホテルからの景色:リージェ
街角で行き交う2階建てバス:ロンドン
コーヒー休憩の雑談や、木星Jupiterにかけたかのようなベルギーの地ビール"Jupiler" (実際は関連ないそう)で乾杯した夕ご飯。その中で、天王星探査や系外惑星・天文天体への応用を現実的に推し進め、(善悪はともかく)対象天体にとらわれず面白い研究が精力的に進められている様子を目の当たりにし、とても刺激的でした。