COSPAR@インド出張
垰 千尋
7月15日から21日までインド・マイソールで開かれたCOSPAR (COmmittee on SPAce Research) Scientific Assembliesに参加してきました。2年に1回開かれる、宇宙科学分野を広くカバーした国際学会です。
私にとって(日本以外の)アジアもインドも初訪問でした。食事や飲み物、交通手段といった安全面でいつもよりもなんとなく気にせざるを得ない点、初海外出張のような心境でした。加えて、会議ビザを取るためインドビザ申請センターのある茗荷谷に通常2回のところ4回通うことになったり、出張前後に渡ってギリシャ選挙を挟み変わり続けるユーロにはらはらした旅費援助の事務手続き、周囲の反応がさまざまだった予防接種をしたり、参加登録を含めて学会LOCへの問い合わせに対するメール返信がなく現地に行って交渉することに割り切らざるを得なかったことも落ち着かなくされました。予備食やペットボトルの水(こちらは学会会場で配布されたので杞憂でしたが)や薬類を入れて普段より倍くらい重くなったスーツケースでした。
学会会場の出入りには銃のようなものを持った警備員と空港のような
セキュリティがあり、会場内外のギャップは大きかったです。
近代的な建物やレクレーション施設を内包する一帯の中にある
学会会場の夜間ライトアップ。
最寄りとはいえ片道5時間の国際空港から会場までの移動バスや、学会会場とホテルを結ぶシャトルバスのガラス越しに、街や人々の様子を垣間見ました。バスでカルチャーショックを共有した学会参加者やヒンズー文字を教えてくれた同乗の警備の人、飛び入りで懇親会にお邪魔させてもらった異分野コミュニティの研究者方、ホテルでヘアドライヤーを親切に貸してくださったインド在住の宗教家など、ユニークな出会いにも恵まれた機会でもありました。
生ものの食材とホテルの部屋の水差しは手をつけず、除菌ウェットティッシュ常備で過ごしました。季節に応じた身体によい適切なスパイスが使われるらしい恩恵もあってか体調は良好に乗り切り、水が使われるときもあるというラッシー(ヨーグルトベースのインドの飲み物)は残念ながら断念しましたが、実際にそうであるのに驚いた朝昼晩インド・カレー料理は思ったほどは飽きず楽しむことができました。
ホテルの朝ごはん
フリーとなった月曜午後の街中散策、撮っていただいた写真から。一人で
街を出歩ける雰囲気ではなく、唯一の貴重な機会でした。何かのときは
警察よりも欧米観光者に助けを求めることとガイド本にありましたが、宮殿
等の観光スポットを除いては観光者をほとんど見ず。。
学会では、木星・土星オーロラの招待講演と太陽風データ同化のポスター発表をしました。学会参加者に占めるインド人研究者・学生の割合は、私が参加してきたこれまでの海外学会・研究会に比べてかなり多いものでした。初めての海外学会だと嬉しそうに語るインド人の学生さんに会い、NASAの人と積極的に話そうとする様子や、日本への大学院留学を考えているという聞く機会もありました。その観点で、欧米ばかりではなく、インドで国際学会が行われる意義も大きいのでしょう。今この時期にインドを垣間見ることができてよかったと思います。惑星関係では先進の欧米ばかりを気にしてしまいますが、精力的に発展するアジアとの関わり方は重要性が今後さらに増すものと思われます。科学の面での関わり方を模索しつつ、また近い将来に何かの機会でインドの変遷をみられるのも新たな楽しみと思う今回の出張でした。
編集:小路 真史 2012/8/8