スタッフ出張報告
(さほど)寒くないニューハンプシャーにて
長谷川 洋
11月25日からAGU直前の12月8日までの2週間、米国ニューハンプシャー州ダートマス大学にSonnerup教授らとの共同研究のために滞在しました。Sonnerupは磁気リコネクションの理論・データ解析研究などで有名ですが、2002年から2005年初めまでの間、僕をポスドクとして雇ってくれていた人であり、公私共にとてもお世話になっています。僕の後任のポスドクに仕事を引き継ぐために同大学に出張したのは2年前なので、それ以来のニューハンプシャーです。
出張はちょっとした災難から始まりました。ダートマス大学へはボストン空港からバスで向かうのですが、成田空港からボストンへの直通便はなく、今回はシカゴ経由でボストンへ到着の予定でした。そのシカゴで災難は起こりました。シカゴからボストンへの便が、何度も出発時刻が遅らされた末、結局キャンセルされてしまったのです。理由は制限時間内に離陸することができなかったかららしいのですが、この日が米国でもっとも大切な祝日である感謝祭(11月の第4木曜日)直後の日曜日であったことが、災難に拍車をかけました。感謝祭は、日本で言うとお盆休みのようなもので、米国中の人が故郷の親族や友人の家に集まって収穫の恵みを祝う(現在では大食事会を行う)日です。僕が米国に入国した日は、まさに感謝祭のUターンラッシュが一番激しい日だったのです。予定されていたシカゴ―ボストン便も満席だったので、キャンセルの結果、百数十人もの乗客が再予約のためにユナイテッド航空のカウンターに並ぶはめになりました。それも聞くところによると、Uターンの混雑のために、シカゴ―ボストン直通便にキャンセル待ちをしないで乗るには火曜日(11/27)まで待たなければならないとのこと。結局その日は、2時間近く行列に並んだ後、翌日のニューヨーク経由でのボストン到着便を予約、シカゴに一泊したのでした。もちろん、ホテル代や食事代は航空会社持ちです。翌日の便にも遅れが生じ、結局ダートマス大学に到着したのは月曜日の深夜。予定よりも1日以上の遅れ、日本の自宅を出発してからは50時間以上が経っていました。到着後のSonnerupとの雑談での結論は、「感謝祭前後には米国内を移動するな」でした。
ボストンやダートマス大学に到着してまず思ったのは、寒くない、でした。実際、到着日には雪ではなく雨が降っていました! 感謝祭頃に積もるほどの初雪が降ったとのことでしたが、もうほとんど残っておらず、(落葉はさすがにしていたものの)芝生が青かったことには驚きました。その後の一週間で景色は一転、それなりの大雪が降って雪色に染まりましたが、思ったよりはずっと暖かかったようです。この時期に外を歩くときには、耳あて付きの帽子か、フード付きのコートをかぶっていないととてもじゃない、というのが2年前までの感覚でしたが、今回の滞在中はほとんどフードをかぶらずじまいでした。
滞在中に気づいたり気になったりした事・ニュースは、
・
ガソリン代が高い!(1ガロン3ドル程度=2002年に米国で運転を始めた頃の約3倍)
・
石油が高いから、今後米国内の航空便は数を減らしたり、石油関連製品の値上げをしたりするらしい。
・
来年の大統領選に向けての活動が活発化。
・
外国人が米国入国審査の際には、両手人差し指の指紋だけでなく、全指10本の指紋が記録されることになるらしい。
ちなみにダートマス滞在中は、AGUホームページのトップでも紹介されたGrad-Shafranov Reconstruction法 [リンク]で、大学のオフィスやホテルにこもって、Geotail、Cluster、THEMISのデータから磁気圏境界層の渦を再現しまくりの日々でした。Sonnerupが言うには、来年分の旅費や滞在費も確保できるかもしれないとのこと。是非またこの研究に集中できる環境に、短期間でも身を置きたいものです。
<長谷川 洋 / 編集: 田中 健太郎>