スタッフ出張報告

極寒福岡ミーティング
田中 健太郎

福岡は東京に比べて暖かいというイメージを持たれがちだが、かならずしもそうだとは限らない。この時期の福岡は東京と同じ程度(あるいはもっと)寒い。さて本出張では、太陽ー地球系環境における最近の研究を、その場観測・地上の地磁気網のシナジーとして講演している演者が多く見受けられた。と同時に、田中高史教授の退職を記念したセレモニー的要素もあったので、グローバルMHDシミュレーション(NICT, 名大)の最近の話題も紹介された。
Nakagawa

今回印象的だったのは、全国各地の高専(高等専門学校)に在籍する研究者がチームとなって、太陽−地球系環境の研究を推進していくという試みだった。大学・研究所に比べて、高専はフットワークが軽い。その特徴を活かして、かつ、高専独特の連帯感を活かして、STP分野への貢献を”若手”が中心となって活動している光景は、次世代型の研究スタイルになるのかも知れない。

田中高史先生の基調講演後、田中先生と議論することが出来た。その中で、「電離層を無視して、磁気圏対流を理解したつもりになるな」と発言された。磁気圏対流を考えるとき、対流の現場のみを切り抜き、その部分を分析的に理解するという研究に対し、田中先生は一抹の不安を抱えているのかも知れない。磁気圏の対流と電離圏の対流は必ずカップルしており、電離圏は必ずしも受動的ではなく、能動的に磁気圏対流をコントロールしている事を体感していたのだろう。田中先生の頭の中には、常に電流系が存在しているのだろう。

<田中 健太郎 / 編集: 田中 健太郎>