スタッフ出張報告
予報(=実学)の基礎(=学術)とは?
JSPS-PD研究員 田中健太郎
町田から2時間半で着く街,京都.
千年以上前から変わらぬ道の構造だから,迷いづらい.ただ,店の変化はあり,新しい飲食店が建ち並んでいたりもする.
そんな街から電車を乗り継ぎ約1時間.比叡山の麓で開かれた研究会に参加してきた.京都は夏に暑く・冬に寒いで有名だが,会場付近は市街地ほどの暑さは感じられない.そのような場所で3日間の研究発表が開かれた.
参加者の大部分は基礎研究に重点を置く研究者.分野は,太陽・太陽風・地球磁気圏・地球電離圏.この分野の理解を統合し,それを数値的にモデル化し,太陽ー地球系システムの総合的理解を目指す.さらにそれを実学にまで発展させる.今回の研究会では,そのようなプロジェクトのまとめが執り行われた.
「宇宙天気」ではなく「宇宙天気"予報"」である.この"予報"という単語が付くか付かないかで状況は劇的に変わる.これは単に学術ではなく,実学であり,実用である.ひょっとしたら,学術を犠牲にしてでも実用であらざるをえないかもしれない
このプロジェクトでの大きな成果の一つに,分野間交流の促進及び国際恊働が上げられるだろう.太陽研究者はリモートセンシングであり,地球研究者はその場観測である.この違いは思想に大きな違いを生み出し,互いの齟齬を生み出してきた(と感じる).だが,このプロジェクトに積極的に参画した人々(特に若手)は,互いの思想をぶつけ合って,その中から新しい概念や思想を生み出した(ような気がする).
実際,面白い比較研究結果が出たのは間違いない.そして実際,人対人の面白い化学変化が起きたのは間違いない.
だが,だがである.このプロジェクトは実学を常に意識して,それに対した何らかのアウトプットが必要である.その事を考えると,まだ継続する余地がある.そして,継続する為には,実学を主とする人間の定常的参加が必須である(残念な事に,そちらサイドの人間が,今回は殆どいなかった).
そしてもう一つ.このプロジェクトを推進する為の主宰のイニシアティブが,もっと必要である.主宰はプロジェクトの中心に居て,周囲の動静を常にキョロキョロ観察しながら,バランス良く円滑に物事を進める為の軸である.実学側の人間の参加が貧弱になったのは,主宰者のバランス感覚の結果かもしれない.
**鴨川の河原**
鴨川と言うだけあって,カモが多い.僕はカモ愛好家としてとても幸せを感じた.鴨川の上流に対して左側の河原には人が多いが,右側は人が少ない.メインストリームからニッチの部分,つまり,鴨川の右側がこっそりデートするには最適の場所である.