スタッフ出張報告
ツールーズ旅行記 @ パリ・ツールーズ
高島 健
今回は、パリ&ツールーズを訪れる7日間。出張でなければ憧れる組合せ。おまけにパリとツールーズの移動にはTGVと完璧。しかし、当然落とし穴があった。。。。
出張の目的は、水星探査MMOの粒子系観測機が使用する圧縮ソフトの調整とMMOで新しく採用した次世代のSpaceWire通信規格の確認試験。ヨーロッパの観測機器と日本で開発するデータ処理装置(MDP)シミュレータできちんと通信できることを確認するとともに、各機器の開発用にシミュレータ(SpaceCubeと呼ばれるミニコンピュータ)を渡してくる。このシミュレータのソフト開発に手間取った。出発前丸二日ISASに泊まり込んで作業続けながら、出発時にはまだ完全なものにはなっていなかった。とりあえずSpaceCubeと関連PCを詰め込んで、当日の朝に一旦自宅により、子供達の非難囂々の声を浴びながら成田に向かう。出がけに「佐藤錦のサクランボを電車に乗ったら食べて」と妻が気を利かせて渡してくれるが、二日ほぼ徹夜した人間が電車に乗って起きているはずもなく、寝てしまえば忘れてしまうのは世の常で、哀れにもツールーズのホテルのゴミ箱行きとなる。
成田空港からISASで開発を続けるメーカーに作業状況を確認しつつ、パリのホテルへの到着時間を告げて飛行機に乗り込む。作業が完了することを想像しつつ、マニュアルを作る。フランクフルト経由でパリのシャルルドゴール空港に到着。ここで、またトラブル(後で聞いたところAirFrance以外の航空会社ではよくあることらしいのだが)。預けた荷物が30分以上経っても出てこない。さらに10分ぐらいしてフランス語の早口のアナウンスが流れる。荷物を待っていた人達が別の場所に動きだす。フランス語はまったくわからなかったが、同じ飛行機に乗っていた人達が移動するのだから、、、と一緒に移動すると指定されていたのとは異なる番号の台に荷物が回り始める。しばらくするとSpaceCubeの入ったマイトランクが出てきた。せめて表示ぐらい変更してくれと思いながら、ホテルに向かう。ここまで登場していないが、道中は東北大K氏が一緒だった。
ホテルについたのが現地時刻で22時過ぎ。日本は15時。早速国際電話で状況確認。ホテルのWirelessLANに接続して新しいプログラムを送ってもらう。ベッドの上にPC2台、SpaceCubeと観測機器を模擬したA6ボードを広げてケーブルで繋ぐ。新しいプログラムを走らせてみる。まだ、満足いかない。再び国際電話で手分けしながらプログラムを変更していくことを確認。「よし、これでいこう!」となったとき、すでに9時過ぎ。8時半に約束していたK氏を部屋で待たせながら、荷物を鞄に詰め込む。打合せ開始は10時。Just on time!
パリ天文台で、PWI(波動チーム)、MGF-O(海外磁場チーム)と打合せ開始。デモンストレーションを行う。説明が終了したところで、MGF-Oチームと接続テスト。初めての接続テストでもあり、本当に通信動作するか内心はドキドキであったが、拍子抜けするほどあっさりと通信確立。その後もコマンド等に問題ないことを確認し無事終了。
当日までの1週間作業の四苦八苦は夢だったかのように、すべて順調に終了。終わってみれば13時と半日で終了してしまった。一方で久しぶりの充実感。書類書いてるより、やっぱり現場がいいと思いながら、みんなで昼食へ。昼食後にインターフェースの打合せを行い無事終了。日本で待機していたメーカーにOKの電話をして1日目を無事終了。翌日はツールーズへ移動のため、8時過ぎにTGVに乗車。約5時間。隣の席には、「車内では仕事しない!」と宣言するK氏。車窓の景色がのどかな田園風景に変わったころには、私は前日までの寝不足もあり、気持ちよく眠りにつく。ふと途中駅で起きて隣を見るとK氏がPCを開いて「お仕事中」。あはは。。午後早めにツールーズに到着し、街を少し散策し翌日のCESRでのMEAチーム(電子センサー)との打合せに備える。
3日目、MEAチームとの接続試験を実施。ここでも問題なく打合せを終了。較正試験施設等をみせてもらって順調に開発が進んでいることも確認。Sauvaud氏も一緒にランチに出かける。Sauvaud氏の愛車はホンダ車だったこともあり、日本車の話題で盛り上がる。ランチ後に少し打合せを行い終了。帰りは、大学キャンパスを通って地下鉄まで1Kmほど歩いてみる。キャンパスはですでに夏休みに入っており学生はおらず、静かであった。途中には昔からの運河があり、航行する船を眺めながら歩く。ISAS付近には無い風景だ。地下鉄にのってツールーズ中心部へ。K氏は翌日に帰国とのことで、空港行きバス停を確認して別れる。
4日目、CNESにてデータ圧縮の打合せ。10時にCNESの入り口でDominiqueさんと待ち合わせ。レジストレーションオフィスで手続きをするが、セキュリティーがえらく厳しい。事前申請していたが、パスポートを預けた上にエスコート付きでないと移動できないという。さて、MPO観測機器で使用している圧縮プログラムのMMOでの使用に向けた打合せを開始する。ソースコードレベルで提供してもらえれば簡単なのだが、研究開発コードであるという理由でソースコードの提供はしてもらえない。コンパイル後にライブラリとして提供してもらう方法で調整。
ライブラリを作製するための開発環境を日本から持ち込んで、彼らに渡す。また、ここでフランス語版Windowsにはまる。持ち込んだ開発環境は、日本語と英語は保証済み。フランス語版でも言語をEnglishにすればいけるだろうとインストールを開始するとNG。うーん困った。私以外は全員フランス語が母国語の人達。周囲で飛び交うフランス語。。。内容はわからんが、いい雰囲気ではない。。別のPCを用意してもらうようにお願いする。これでうまくいかなかったら、PCごと日本からもってこないといけないのか?と思いながら作業する。お、うまくいった!よかった。。開発ソフト環境を立ち上げて、使い方を説明。大体理解してもらえたようだ。これで、一応CNESで開発した圧縮ソフトを試す環境が整った。実は、これからが重要。水星で取得されるであろうデータをシミュレートしながら圧縮ソフトのパラメータを決めていかなければならない。GeotailやClusterデータをベースに多くの人の協力が必要である。
5日目は前日からの続きで詳細を調整。午前で終了。出だしがかなりバタバタしたが、終わってみると充実した出張内容となった。午後に若干時間ができたので、前回体調を崩し行けなかったCarcassonに短時間だが訪れることができた。F教授の出張旅行記で馬鹿にされたことへのリベンジも果たし、帰国の途についた。