スタッフ出張報告
雨のGSFCで勉強
中村 琢磨
5月17日から21日の期間で、アメリカ合衆国メリーランド州にある、NASAのGSFC(Goddard Space Flight Center)に行ってきました。飛行機は17日の夜に到着し20日の朝に出発する便だったので実際に仕事をするのは2日間という短い出張でした。仕事内容は、宇宙プラズマ関連の研究をする数人の研究者に会い打ち合わせをするというもので、2日間で予定していた人達とは仕事ができ、仕事面では満足の行くものでした。また、1時間程のセミナーを行うこともできました。セミナーでは、普段は各々独立して自分の仕事を忙しくこなしているGSFCの研究者達が、自分の出席が望まれるセミナーが開かれると出席し、出席したからには生産的な意見を述べて帰る、というシンプルな光景を見ることができました。独立した個人として仕事をしながらも必要に応じ組織の中にいる個人としての自分も意識する、というシンプルなスタイルにアメリカの合理主義の自然さを感じます。日本はアメリカとは風土が違い、合理的でない文化も多くありそれは日本のいいところである、という司馬慮太郎的考えに概ね賛同します。とはいえ、いずれにしても個人として独立する力がなく、(だから)組織にも貢献できない、というような事態は最悪で、そうならないように力をつけなければいけないと改めて実感でき、勉強になりました。
しかし、仕事以外の面では、何かとトラブル続きで面白い(?)出張となりました。まず出発前に旅費についてのトラブルが発生しました。今回の旅費は全てGSFC側で支払われることになっていました。財源にはいろいろな種類のものがあるらしく、それぞれ手続きにかかる期間が違うということで、訪問先のGSFCの研究者と前もって出張の日程を決めて、1番楽に支払いが行われる手続き期間の長い財源を選ぶことになりました。この種類の財源ですと、飛行機の予約にホテルの予約からレンタカーの手配まで全てをGSFCの旅費センターで行ってくれるとのことで、さすがNASA、と感心しながら予約完了の報告を待っていました。しかし待てども暮らせども報告が来ません。不安ながらもNASAを信じて無駄に耐えて待っていると、出発10日前になってようやく連絡が来ました。そうです、手違いで予約が何も行われていなかったという懺悔の連絡が来たのです。急遽別の財源で予約を行うことになり、今度は中村が旅費センターと交渉して飛行機を予約し(ちょっと手間取って2日を要した)、続いてGSFCの秘書がホテルを予約し(ちょっと手間取って2日を要した)、最後にGSFCの研究者がレンタカーを予約し(ちょっと手間取って4日を要した)、何とか出発2日前に全て整いました。現地では、NASAがどういうところか勉強することができてよかったよね、ということで笑い話にすることができてよかったです。
もう一つのトラブルは完全に自分の問題で、レンタカーについてです。飛行機はバルチモア国際空港に夜の7時過ぎに到着し、そこから約30kmの場所にあるホテルにレンタカーで行く予定でした。空港からホテルまで事前にばっちり地図を調べて行ったので、レンタカーセンターのカウンターでカーナビはいるかと聞かれても、調子に乗ってNO!と言い放ちました。しかし、実はこのレンタカーセンターは空港からシャトルバスにのって数分移動したところにあったのです。無駄な自信に取りつかれていた中村は、シャトルバスに乗ってきたことも忘れて、レンタカーを配車し駐車場を出るゲートで道は分かるかと聞かれても、YES!と言い放ってしまいました。そして、雨降る見知らぬ夜の土地に意気揚々と飛び出して行き、どっかり迷いました。本来なら30分以内で着くはずのところを1時間以上かかり(主に空港周辺の道を制覇するのに時間を要した)、ホテルに夜10時に到着しました。迷っていた時間はそれほど長くはなかったのですが、成田から17時間程の移動の直後に雨降る暗い森の中(メリーランド州は森だらけ)をさまよっている時は、帰りたい、という分かりやすい感情でいっぱいでした。根拠のない自信ほど怖いものはないと改めて実感でき、勉強になりました。
というように様々な勉強機会を与えてくれた出張は、帰りに関してはトラブルなく終えることができました。写真は、晴天続きだったメリーランド州で中村が滞在した短い期間だけ雨が降り、帰る朝また晴天に戻ったバルチモア空港です。いろいろ親身になってくれたGSFCの方々に感謝致します。