スタッフ出張報告
出張報告 @ オスロ
横田 勝一郎
オスロ大学でのICI-2ロケット計画の打ち合わせに参加するため、9月8日にモスクワ経由でオスロへと向かった。23時を過ぎにオスロ市内に到着したのだが、非常に肌寒かった。東京の11月下旬のような感覚だ。土曜の夜ということもあり大通りはお祭りのような賑わいで、ホテルまでの道のりは楽しいものだった。半袖は私以外に見なかった。
ICI-2はオスロ大学とアンドーヤロケット射場が中心となって進めているロケット観測計画で、ノルウェー上空にあるカスプ領域にて電離層での観測を行う。日本からはLangmuirプローブ(阿部:ISAS/JAXA)と低エネルギー電子計測器(齋藤:ISAS/JAXA)が参加する予定である。各観測機器には、微細構造を捉えるべく高速サンプリングが要求されていて、低エネルギー電子計測器を担当する私たちのグループとしては、開発中の多チャンネルアノードを実用する絶好の機会でもある。
会合には上記PI2名と私とで参加した。ICI-2への参加が正式に決まったのが今年度の初めで、そのから第一回の会合となったため、インターフェイス等の質問・調整事項は数多くあった。 話し合いは夕食のテーブルにまで及んだが、なんとか全ての事項を消化することが出来た。打ち上げは2008年の11月下旬から12月の上旬なので、これから慌しく作業していくことになる。 この電子計測器の開発は今年度修士課程に入学してきた原田君の研究テーマにもなっていて、設計、性能試験、環境試験といったロケット搭載に至る全ての作業が彼に任せられる。これからの1年間で10年を生きた心地になれるだろう。
オスロ大学の参加メンバーはというと半数は学生で、ISASの学生同様活気に満ちていた。自分が学生だった時は思いもしなかったが、学生の割合が多いと新しいものが生まれる雰囲気を感じる。研究室を覘くと、明らかに彼らの方が掃除が行き届いていて整然としていた。自分の居室のアジア的な雑然さも嫌いではないのだが、見習いたいと思う。キャンパスの様子は落ち着いた雰囲気で、大学の食堂は驚くほど洒落ていた。いつの日かこういう場所で働きたいものだ。
滞在時間は丸2日ほどだったが、オスロの街は大きくはないため散策するには十分だった。海洋国家ということもあり、どことなく雰囲気が日本に似ている。フィヨルドによる谷地形や、海運が盛んな大型船の多い港を見るにつけ、長崎を思い出した。治安も良く極めて居心地は良いのだが、物価がなにしろ高い。ユーロ高に引きずられて、現在日本の2倍ほどである。夕食に1万近く掛かったのには閉口した。次に来る機会があれば、沢山の現金と上着を忘れないようにしたい。
写真は大学構内をディナーへと向かう一同