磁気圏尾部観測衛星「GEOTAIL」

地球の尾っぽのプラズマ科学探査「GEOTAIL」

第一線の研究者の声

Geotailと海外での共同研究

桂華 邦裕

私は学生時代、Geotail衛星で取得された磁場やプラズマのデータを使って、バウショックでの太陽風粒子加速と地球磁気粒子の磁気圏外流出に関する研究を行っていました。国際的に高い評価を受けているGeotailを利用したことで、多くの事を経験することができましたが、何より貴重な経験になったのは、多くの外国人研究者と共同研究する機会を得たことです。

私は、アメリカのジョンズホプキンス大学応用物理研究所で設計されたEPIC観測器を主に利用していたため、同研究所の研究者や衛星設計者と頻繁に話し合う機会がありました。さらに、2度に分けて合計6ヶ月間、同研究所を訪問する機会にも恵まれました。そこでは、多くの研究者と議論を重ねることで自分の研究をより洗練させることができた上、車で高速道路をひたすら飛ばして出勤したり巨大スーパーで1ガロン牛乳を買ったりといった、アメリカならではの環境で研究生活を送る面白さも味わうことができました。また、現地研究者との良いコネクションができたため、その後の関連研究にも大きく役立ちました。実際、博士課程後半には、同研究所が設計したIMAGE衛星搭載高エネルギー中性粒子検出器HENAのデータ提供を受けることができ、博士論文をより内容の濃いものに仕上げることができました。

そして今、私は卒業後、欧州オーストリアのグラーツに渡り、新しい衛星のデータも用いて研究の幅を広げています。ClusterやTHEMISといった新しい衛星は、Geotailで得られた多くの重要な科学的成果に基づいて計画されたものなので、Geotailを使って研究していたことが今の研究にとてもプラスになっています。また、海外での研究生活に関しても学生時代の短期滞在の経験が生き、異なる文化や習慣での生活に大きく戸惑うことなく、比較的早く新しい環境に馴染むことができました。まだまだ悪戦苦闘の連続ですが、家族とともに充実した生活を送ることができています。

(編集: 三津山和朗)