研究プロジェクト

太陽地球系物理学分野の新しいQLツール
  "Conjunction Event Finder"

研究員 宮下幸長

"Conjunction Event Finder (CEF)"は、 太陽地球系物理学(STP)分野の各種クイックルック(QL)データを効率的に閲覧できるようにするウェブツールです。 DARTS上で公開されています。
※ クイックルック:何か面白そうな現象を探す時、とりあえず時系列データを一気に見ること。本格的で詳細なデータ解析はこの段階では行わない。
※ DARTS: Data Archives and Transmission Systemの略称。天文学、太陽物理学、および、太陽地球系物理学といった多分野にわたる宇宙科学データを公開している。

STP分野の研究では、太陽から太陽風、磁気圏、電離圏、地上までの多種多様な人工衛星や地上の観測データを調べます。 その際、まずウェブ上でQLデータの図を閲覧し、多種類のデータをとりあえずさっと調べたり、 研究対象になる事例を探したりすることがしばしばあります。しかし、QL図は、何十種類もあり、 世界各地の研究機関・大学に分散しています。そのため、各種QL図を表示させるためは、 それぞれに対してブラウザを開き、その都度同じ日付を入力するなどの作業をしなければなりません。 これは、複数衛星を使った研究や衛星と地上の観測を連携させた研究のように、 多種類のデータを解析する研究をするとき、数が多くなればなるほど、非常に煩わしく、悩ましい問題でした。

そこで、この不便さを解消すべく、DARTSが考え出した一つの解決策がCEFです。 これを開いて、調べたい日時を一度だけ入力すれば、その日時の様々なQL図へのリンク集ができ、 効率的にデータを閲覧することができます(図参照)。必ずしも難しい技術を使っているわけではなく、見た目も簡素で利便性の高いツールができました。

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また、CEFにあわせて、DARTSのサービスとして、 GeotailCluster、 Double Star (TC1TC2)、 THEMIS衛星のデータのQL図と、 各種衛星の軌道と地上観測の情報の図を新たに作成し、 ウェブ上で閲覧できるようにしましたので、複数衛星と地上観測を連携させた研究に非常に役に立っています。

最後に、公開されているQLプロットが『必ずしも自分にとって使いやすいものであるとは限らない』のが一般的です。 そこで、自分の目的に合わせたプロットを自分で作り、CEFのようにウェブ上で見られるようにすると、 ちょっとしたときにイベントを探したりするのに非常に便利になります。


<宮下幸長 / 編集: 田中健太郎>