研究プロジェクト

プラズマ観測器の設計

宇宙研STPグループでは、人工衛星搭載用のプラズマ観測器の開発を行っています。今までに、オーロラ観測衛星あけぼの、地球磁気圏観測 衛星GEOTAILなどの衛星にプラズマ観測器を搭載し、地球磁気圏やオーロラ、太陽風のプラズマを観測してきました。プラズマ観測器の中でも、我々が開 発しているのはプラズマ中の荷電粒子(電子と陽イオン)のエネルギーや質量を計測する粒子計測器です。その中の一つに静電分析器と呼ばれる低エネルギー荷 電粒子用の計測器があります。外球と内球と呼ばれる二つの球の間に電位差を与えることにより発生する電場を利用して、荷電粒子のエネルギーを分析するのが 静電分析器の原理です。荷電粒子の計測可能なエネルギー幅は、球間の電位差Vに比例するため、球にかける電圧を変化させる("掃引"と言います)ことに よって、様々なエネルギー幅の低エネルギー荷電粒子を計測できるようになります。一定のVに対する荷電粒子の計測可能なエネルギー幅や入射角度は、計測器 の形状で決まります。


図1:静電分析器の断面図

図2:火星探査機のぞみに搭載した静電分析器


開発を行う上で、我々がまず始めに行う作業は、C言語やFortranを用い てシミュレーションを行い、計測器を設計することです。そして、設計を基に専門の業者さんに実物を作って貰い、計測器が出来上がったら、実験室(クリーン ルーム)で実験を行い、シミュレーションの結果と比較したりしながら、計測器の特性を調べていきます。シミュレーションをする際は、まず始めに図3のよう に計測器の形状を再現します。次に図4のように計測器内の静電ポテンシャルを計算し、電場を求め、最後に荷電粒子の軌道を描きます。シミュレーションによ り、検出部に到達できる粒子が、どのくらいのエネルギー幅なのか、どのくらいの入射角度なのかということを知ることができます。この情報を基に、最適な計 測器の形状を考えるのが、我々が行う設計の仕事です。現在は、水星探査機BepiColombo/MMOや次期地球磁気圏探査ミッションSCOPEに向け て、新規開発を行っています。


図3:シミュレーションにより静電分析器の形状を再現しもの

図4:静電分析器内の静電ポテンシャル

図5:荷電粒子の軌道



<佐々木慎太郎 / 編集: 田中孝明 >