研究プロジェクト
衛星搭載機器の開発の心得 その3
宇宙空間プラズマをその場で観測するために、衛星に搭載する観測装置の研究開発をしている人々に、機器開発をする上での心得を聞きました。第三回は、松岡彩子先生です。
ユニバーサル基板で回路を組む
私は実験を始めたのが遅く、手取り足取り教えてもらった経験が無いので、ポケットマネー&有給休暇を使って、「ソルダリングスクール(半田付け学校?)」に行ったことがあります。筆記試験で落ちそうになりましたが、実技試験で取り戻し(!)一応「中級コース」に合格しました。しかしそこで教えてもらったのはプリント基板への半田付け(挿入実装&表面実装)でした。一方で、普段私たちが機器開発のために実験をするときには、ユニバーサル基板で回路を組むことが多いと思います(高周波でベタアースが必要な場合などを除く)。ユニバーサル基板を使った回路の製作の方法は、いろいろ資料をあたってみたのですが、なかなか良い参考になるものがありません。以下には、これまで作った経験で身にしみたことをいくつか書きますが、皆さんも「こうすると便利」というワザを知っていましたら教えて頂けると嬉しいです。
1.ジャンパー線について
ジャンパー線は、出来るだけ無くしたほうが良いのですが、ユニバーサル基板である以上、ある程度使うのは仕方がありません。一応売っているようなのですが、私は買ったことが無く、九州大の師匠に教わった方法を使っています。
・抵抗やコンデンサーのリード
切ったリードは全て捨てずに取ってあります。これらを適当な長さに切って曲げ、短いジャンパー、アース端子、時にはチェック端子としても使っています。
・複芯のケーブルをばらばらにする
被覆のあるジャンパー線が必要になることも多くあります。柔軟性が必要ですし、細いほうが使い勝手が良いです。複芯のケーブルの一番外側の被覆を取り、中の線をばらばらにして使っています。たいていはシールド線なのでちょっと面倒ですが、一度に1年分くらいを大量に作るようにしています。
2.余裕を持って組む。チェック端子を十分に立てる。
2005年に、イギリス人のインターン学生さんに、磁力計の試作アンプボードを作ってもらったことがありました。回路図とユニバーサル基板、部品を渡して、しばらくして彼が作ってきたのが写真1です。