2007年度の研究成果

 

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ジオテイル衛星で観測された温度非等方性の生成現場
---北向きIMFのときの磁気圏境界層の渦内部の物理---

西野 真木 / 研究員

無衝突プラズマの温度非等方性はどのように生じるのでしょうか? 磁気圏のわき腹境界層で成長する渦は、その周辺で見られる非等方性の一因となっているのかも知れません。ジオテイル衛星データの解析に基づく最新結果。 (2008年3月13日)

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躍動する電子を磁気圏境界領域で捉える
〜観測/シミュレーションの協同研究〜

田中 健太郎 / 研究員

磁気圏境界での磁気リコネクションは、濃いプラズマ(太陽風)と薄いプラズマ(磁気圏)との間で起きているので、ユニークな特徴を持っています。Cluster衛星の観測と粒子シミュレーションとの比較は、その特徴を大規模構造から微細構造にいたるまで明らかにします。 (2008年2月19日)

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サブストーム開始機構の研究: 磁気圏尾部で観測されるMHD波から

齋藤 実穂 / 博士課程

サブストームが始まると、オーロラが急激に増光・拡大します。サブストームは磁気圏夜側でおこる現象に端を発すると考えられていますが、その仕組みは謎です。サブストームの開始機構と関係のある電磁流体(MHD)波を、新しい解析手法により、ジオテイル衛星の観測データから検出しました。 (2007年12月21日)

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Cluster-II衛星が観測した衝撃波面再形成

関 克隆 / 博士課程

衝撃波は宇宙の高エネルギー粒子(宇宙線など)を生成しています。無衝突プラズマ中での高エネルギー粒子生成には、衝撃波の非定常性が一つの鍵であると考えられています。Cluster衛星は編隊観測により、地球磁気圏前面の衝撃波が時々刻々と変化していく様子をとらえることに初めて成功しました。 (2007年11月15日)

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多点観測による地球磁気圏尾部で高速伝播する磁力管の解析

高田 拓 / 研究員

磁気圏尾部プラズマシートでは、高速流がしばしば観測されます。尾部は磁力線を介して地球とつながっているために、超高層の高速流の影響が地表付近(電離層など)にも及びます。磁気圏と地上、両者を多点同時観測することで明らかになった尾部高速流の構造について報告します。 (2007年10月19日)

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2流体シミュレーションに見る宇宙プラズマ中に発生する大規模なケルビン・ヘルムホルツ渦の性質

中村 琢磨 / 研究員

異なる特徴をもつ宇宙プラズマはどのように混ざり合うのでしょうか? 無衝突という性質ゆえに、その理解は簡単ではありません。大規模な渦の成長にともなうプラズマの混合過程について、数値シミュレーションから明らかになった成果を紹介します。 (2007年9月14日)

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ジオテイル衛星で観測されたプロトンと電子の温度非等方性
---北向きIMFのときの磁気圏境界層の物理に迫る---

西野 真木 / 研究員

無衝突な宇宙プラズマ中では、粒子(陽子や電子)の速度分布が等方的なものから大きく外れることがあります。そのような非等方分布は、プラズマが経験した物理過程を反映しているので、非等方性の特徴を調べることで鍵プロセス解明への糸口が得られます。 (2007年8月27日)

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水星ナトリウム大気の生成散逸過程

亀田 真吾 / 研究員

水星の大気はナトリウムの光を出しています。しかし、大気中のナトリウムが水星表層から出てくる仕組みはよく分かっていません。その仕組みに迫った地上観測、そしてナトリウム大気が水星の夜側に伸びていることを初めて明らかにした観測について報告します。 (2007年7月18日)

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電子温度非等方性は磁気リコネクショントリガーの救世主になるか?

田中 健太郎 / 研究員

磁気リコネクションは宇宙プラズマ中のさまざまな爆発現象の原因と考えられています。しかし、それがいつ、どのように始まるのかは未解明のままです。電子温度の非等方性はリコネクションの発動にどのような影響をあたえるのでしょうか? 粒子シミュレーションから得られた知見について紹介します。 (2007年6月16日)

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ジオテイル衛星で観測された2温度プロトンの温度非等方性
---太陽風から磁気圏へのプラズマ輸送をめぐって---

西野 真木 / 研究員

太陽風磁場が北を向いている時に、太陽風プラズマはどのように磁気圏に輸送されるのでしょうか? これは磁気圏物理学の大きな謎の一つです。その真相に迫ったジオテイル衛星プラズマ観測データの詳細解析について報告します。 (2007年5月28日)

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磁気圏わき腹境界層におけるプラズマの流れパターンの再現

長谷川 洋 / 助手

単一衛星によって得られたプラズマ・磁場データから、プラズマ速度場(流線)の二次元マップを再現する新しいデータ解析手法について紹介します。MHDシミュレーションを用いて手法をテストした結果や、Geotail衛星観測データへの適用から明らかになった知見について考察しています。 (2007年4月15日)


<編集: 長谷川 洋>