2008年度の研究成果

-------------------------------------------------------

磁気圏尾部領域に於ける磁気島融合過程の証拠 - 観測とシミュレーションとの共同研究 -

田中 健太郎 / 研究員

観測とシミュレーションの連携から、磁気リコネクションが生み出す複数の磁気島が合体していることが判明しました。磁気島の合体は電子を高エネルギーまで加速している可能性があります。 (2009年3月6日)

-------------------------------------------------------

「かぐや」搭載プラズマ観測装置が発見した太陽風月面反射/散乱現象

齋藤 義文 / 准教授

太陽風のイオンが月面から跳ね返されることを「かぐや」衛星が新発見しました。大気や強い磁場をもたない天体に共通する現象かもしれません。 (2009年3月3日)

-------------------------------------------------------

サブストーム開始に伴う磁気圏尾部の時間発展の最新描像

宮下 幸長 / 研究員

オーロラ爆発の前後での磁気圏尾部の平均的な時空発展の様子が明らかになりました。結果はサブストーム発生のモデルにいくつかの制約を与えます。 (2009年2月6日)

-------------------------------------------------------

サブストーム開始に対する大規模な電離圏対流の応答

宮下 幸長 / 研究員

オーロラの爆発的な増光の直前に、電離圏の対流が強まり始めることが判明しました。サブストームが始まる直前に、対流が弱まることを予測するサブストームモデルの一つとは相反する結果です。 (2009年1月23日)

-------------------------------------------------------

磁気圏からの高エネルギー酸素イオン流出北向き惑星間空間磁場でも磁気リコネクションが有効

笠原 慧 / 博士課程

太陽風中の磁場が北向きの時にも、磁気リコネクションによって地球の酸素イオンが磁気圏から漏れ出していることを発見しました。地球大気の宇宙空間への流出に寄与しているかもしれません。 (2008年12月25日)

-------------------------------------------------------

宇宙プラズマ中に多数発生する大規模渦の合体成長過程

中村 琢磨 / 研究員

渦が数珠つなぎに幾つも並んでいると、合体して大渦を生み出すことがあります。プラズマ中の渦の合体は、磁気リコネクションによって妨げられることもあれば、そうならないこともあることが判明しました。 (2008年10月17日)

-------------------------------------------------------

アルフヴェン・マッハ数が低いときの地球磁気圏周辺の宇宙プラズマ流

西野 真木 / 研究員

普段、太陽風は地球磁気圏の周りを朝夕対称に流れていますが、その常識に反するプラズマ流が観測されました。理論計算や磁気圏と太陽風の相互作用のシミュレーションから、この異常なプラズマ流は太陽風の密度が低く磁場の影響が強いときに現れることが明らかになりました。 (2008年9月15日)

-------------------------------------------------------

リコネクションポイントは後退している

長谷川 洋 / 助教

磁気リコネクションが発生している場所(リコネクションポイント)は同じ場所に静止しつづけるのでしょうか、それとも移動するのでしょうか? クラスター衛星による最近の観測によると、太陽風が安定している時でも、磁気圏界面上のリコネクションポイントは移動しているようです。 (2008年7月12日)

-------------------------------------------------------

バルーニング不安定がサブストーム開始のトリガーか?

齋藤 実穂 / 博士課程

バルーニングと呼ばれる不安定に起因する波を検出することに、世界で初めて成功しました。この不安定は、オーロラ爆発につながる磁気圏の突発的なエネルギー解放現象の引き金になっているかもしれません。 (2008年5月3日)

-------------------------------------------------------

中間エネルギーイオン分析器の開発

笠原 慧 / 博士課程

プラズマ密度を支配する低エネルギー粒子、放射線をになう高エネルギー粒子。間をつなぐ中間エネルギー帯はエネルギー収支の観点からも重要ですが、これまで信頼できる観測がありませんでした。ここでは、イオンの組成までも計測する画期的な中間エネルギー粒子観測器について紹介します。 (2008年4月5日)

-------------------------------------------------------

2007年度の研究成果紹介


<編集: 長谷川 洋>